計画

低所得者福祉の充実

【現況と課題】

 平成20(2008)年9月に発生したリーマンショック以来世界的な規模で経済が混乱し、その影響が生活保護世帯の急激な増加という形で現れています。リストラ等の失業による収入の減少、高齢、母(父)子、傷病、障がい等の要援護世帯の増加に伴い、本町においても生活保護世帯は増加傾向にあります。これらの世帯が抱える問題には、経済的な援助はもとより、福祉、保健、医療をはじめとする様々な分野の施策が必要です。
 このため、関係機関との協力のもとに、様々な施策を活用し、個々の世帯の実情に応じたきめ細やかな対応がより一層重要となっています。

【施策の内容】

生活保護等に対する援助体制の充実

 平成23年4月1日から町で福祉事務所を設置します。これにより、今まで保護の決定・支給、自立支援等県で実施していたことを町が主体的に行うことになります。住民により身近な町がそれらを担うことで、より迅速に、より的確な支援ができることを目指します。
 また、地域の民生委員児童委員と協力して、相互の情報提供体制の強化及び面接相談体制や援助体制を充実し、多様な相談やニーズに対応します。

保健・医療の充実

①保 健
【現況と課題】

 超高齢化社会にあって、今後は疾病軽減策にとどまらず、疾病予防と生きがい対策を組み合わせた健康づくり施策を展開していく必要があります。
 また、人生80年時代を迎え、人々の健康に対する関心は、今日の健康ブームに示されるように年々高まっており、多様な健康づくりに対する取り組みが求められています。
 さらに、急激に変化する社会の中で、ストレスや過労等により、心の病にかかる人も増えており、体の健康だけでなく、心の健康づくりも必要になっています。
 国は、健康づくり運動を総合的かつ効果的に推進するために、平成12年から第3次国民健康づくり運動「健康日本21」を策定しました。鳥取県では、平成13年に「健康とっとり計画」を策定し、すべての県民が健康で心豊かに生活のできる活力ある鳥取県を目指して、取り組みを推進しています。
 また、医療制度改革により、生活習慣病に着目した健康づくりが求められることになったため、平成20年に見直しを行い、健康づくりが「文化」として日常生活に根付くことを目指した「健康づくり文化創造プラン」としてさらなる推進を図っています。
 本町においては、国及び県の健康づくり運動、計画の流れの中で、「町民一人ひとりが健康づくりに自ら積極的に取り組む」という視点に立ち、平成17(2005)年度に「健康ゆりはま21」を策定しました。さらに、平成20(2008)年度には、時代の流れ、制度改正等を踏まえた中間評価を行い、疾病の早期発見、早期治療、健康づくりの推進に取り組んでいます。
 しかし、食生活や運動等の日常生活習慣と関係が深いがん、心臓病、脳卒中等の生活習慣病は、本町において主要死因の約7割を占めています。今後、高齢化の進行が予想される中、これらの疾病は生命を奪うだけでなく、寝たきり・認知症など、身体機能や生活の質の低下に関わると考えられます。これからの21世紀を生きる町民が、健康でいきいきと心豊かに生活できる活力ある町となるために、特に健康づくりは重要となっています。

【施策の内容】

総合的な健康づくりの推進

 平成17(2005)年度に策定(平成20年度中間評価済み)した「健康ゆりはま21」に基づき、健康診査、各種がん検診、各種健康診査事業、母子保健事業、感染症予防対策、生活習慣病予防健康教育等を充実し、疾病の早期発見、早期治療、健康づくりの推進に努めます。

母子保健事業の推進

 町民のニーズに応じた母子保健事業の実施に努めます。特に、乳幼児健康診査や育児相談、訪問指導等を通して、育児不安への支援や児童虐待の予防と早期発見に努めます。
 また、かかりつけ医や子育て支援事業等と連携しながら、きめ細やかな支援に努めるとともに、軽度発達障がい児の早期発見に努め、家庭や保育所、幼稚園、小学校等関係機関との連携により、適切な支援を行ないます。
 さらに、妊婦健診費用の全額公費負担を実施し、安心、安全な妊娠、出産を目指すとともに、不妊治療費助成制度も拡充し、産み育てやすい町づくりの環境整備を推進します。

成人保健事業の推進

 国は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診や健診結果により対象となる人に保健指導を行い、生活習慣病を予防することとした「特定健康診査・特定保健指導」を平成20年4月から義務づけています。その背景には、生活習慣病の中でも、糖尿病、高血圧症、高脂血症等が肥満と密接な関係にあることを掲げています。
 内臓脂肪型肥満の予防に向け、健康診査や保健指導、健康教育等において、個人の状況に応じた支援に努めます。
 また、各種がん検診の実施体制を充実しながら、適正受診の促進を図り、病気の早期発見、早期治療(重篤化の予防)に努めます。
 さらに、町民が主体性を持って、食生活の改善、喫煙対策、運動・身体活動の習慣化等に取り組めるよう、関係機関と連携し、専門職の配置を充実して多彩な情報の提供に努めます。

高齢者保健事業の推進

 お年寄りの年齢に応じた生活習慣の改善や疾病予防に努めます。
 また、生活機能の低下を早期に発見し、健康教育や訪問指導、地域参加型機能訓練事業など、介護予防に寄与する事業の実施に努めます。

歯科保健事業の推進

 年代に応じた予防的な歯科保健事業を実施します。
 また、お年寄り、障がいのある人に対し、口腔ケアを含む効果的な歯科保健サービスを実施します。

精神保健事業の推進

 ストレスへの対応やうつ、うつ状態、心の病や認知症の予防のために、正しい知識の普及・啓発や生活支援に努めます。心のバランスを失い、子育てに支障をきたしている保護者には、訪問等を行い、育児支援事業や在宅福祉サービスを利用していただくなど、保健、医療、福祉等の関係機関が連携して支援に努めます。
 また、精神保健に対する町民の認識は十分とは言えず、関係機関と連携しながら、精神疾患への理解を深めるための啓発に努めます。

感染症予防対策の推進

 感染症の流行情報の迅速な提供やその予防について、正しい知識の普及や情報提供を行い、感染症予防に努めます。
 感染症発生時には、人権に配慮しつつ、保健所や医療機関等と連携して迅速な蔓延防止に努めます。

相談・支援体制の充実

 複数の問題を抱えている人の相談にも対応できるよう、保健・福祉・医療等各関係機関が密接に連携し、生活者の視点に立った総合的な相談体制を確立します。特に、発達障がいや支援の必要な子どもを持つ家庭が育児不安に陥ったり、地域の中で孤立したりしないよう、安心して相談できる体制の整備を図ります。
 また、外国人母が増えており、このような配慮が必要な家庭への支援を行います。
 さらに、心の健康づくりのための普及啓発を行うとともに、相談支援業務を充実します。

②医 療
【現況と課題】

 町民が利用する医療機関は、町内開業医と倉吉市を中心とした県中部一円の公私立病院等によって充実しています。また、救急体制も羽合消防署との連携によって対処するなど、医療体制は一応整っています。しかし、年々増加の傾向をたどる後期高齢者の医療費にかんがみ、ひとり暮らしのお年寄り世帯等も増加していることから、緊急時の対応を迅速に行う体制づくりなど、お年寄りを取り巻く医療体制の整備が必要となっています。

【施策の内容】

救急医療体制の整備

 緊急時における救急患者の受け入れを迅速かつ的確に行うため、鳥取中部ふるさと広域連合を中心とした救急医療体制の拡充を促進します。
 また、「鳥取県保健医療計画」に沿って、鳥取県や隣接市町、関係医療機関との連携強化を図り、広域的な救急搬送の円滑化を図ります。

地域での暮らしを支える医療

 関係機関に働きかけ、かかりつけ医を定着させるとともに、地域の医療、保健、福祉のネットワークづくりに努め、疾病予防や介護予防に積極的に取り組みます。


リーマンショック
2007年のサブプライムローン問題に端を発した米国住宅バブル崩壊をきっかけに、2008年9月に米国の名門投資銀行であるリーマン・ブラザーズが経営破綻。これが世界的な金融危機へと連鎖し、金融不安が深刻化した。
民生委員
厚生労働大臣から委嘱され、それぞれの地域において、常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努める人で、児童委員を兼ねている。
児童委員
地域の子どもたちが元気に安心して暮らせるように、子どもたちを見守り、子育ての不安や妊娠中の心配ごと等の相談・支援等を行う。一部の児童委員は、児童に関することを専門的に担当する主任児童委員の指名を受ける。
地産地消
地域生産地域消費の略語。地域で生産された農産物や水産物等をその地域で消費すること。
ホームドクター
病気になったり、けがをした時など、一番最初に相談する医者。かかりつけの医者のこと。