計画

商工業の振興

【現況と課題】

①商 業

 少子・高齢化の進行や長引く不況など、町民生活をめぐる状況が変化している中で、産業の振興は大きな役割を担っています。産業は、町民の就労や所得の確保等日々の暮らしを支える基盤であるだけでなく、町税収入を生み出す経済基盤でもあり、まちの活力と賑わいをもたらすことからも、その安定した発展が課題となっています。
 町内の商店の状況を見ると、ほとんどが家族従業員型及び兼業型商店で、その規模も零細・小規模なものが大半となっており、経営者の高齢化や後継者不足という問題を抱えています。
 また、消費者ニーズの多様化及び個性化、消費者の行動範囲の拡大、情報化の進展等により、近隣の大型店舗の利用増大やテレビ、インターネットを活用した通信販売等の新しい消費スタイルが拡大し、既存商店での購買力は低下しています。
 さらに、店舗の老朽化や後継者不足等で、商店街や小売市場では店舗数が減少し、空き店舗の増加等の傾向が現れています。
 このように、商業経営環境は厳しいものがありますが、地域に密着した商業は、日常生活の利便性や地域の活性化に欠くことのできないものであり、経営基盤の強化を図るとともに、魅力ある商店づくりを行うことが必要です。

②工 業

 工業は、本町には企業数が少なく雇用力が小さいため、労働力は町外へ数多く流出しています。
 町内の製造業は、縫製業及び電子部品組立業が中心産業であったものの、景気の低迷や海外への労働力の移転等により大幅に減少しています。工場の閉鎖や移転に伴い宅地化が進む中で、既存の工場とその周辺地域と調和した環境づくりや跡地の適正な土地利用への誘導が課題となっています。
 企業誘致は、今日の製造業を取り巻く環境が、国際競争の激化やデフレ経済の進行、工場の海外展開による産業や雇用の空洞化等極めて厳しく、設備投資の抑制や海外進出が進む中で、町内への新たな企業の誘致は難しい現状にあります。しかし、企業の立地は、雇用の確保や町財政の面への効果も大きいことから、山陰道青谷羽合道路の整備等立地条件を活かしながら、優良企業の誘致に引き続き取り組んでいく必要があります。

【施策の内容】

魅力ある商店づくりの推進

 農業、漁業、観光等他産業との連携強化を図り、人の流れを呼び込むための体制づくりに取り組みます。
 また、ICTを活用したビジネスモデル*の構築を積極的に行い、農商工連携及び産学金官連携事業の検討を行いながら、新しい分野への進出も視野に入れた産業振興や新たな産業の誘致を推進します。
 さらに、商店が連携して共同事業に取り組むなど、魅力ある商店街の形成、購買者の利便性向上を図るとともに、地域の活性化を支援します。

特産品開発とブランド化の推進

 本町の農林水産業をはじめ、観光業等異業種との連携により、特産品開発や商品ブランドの育成を行い、湯梨浜ブランドづくりを進めます。
 また、情報技術を活かしながら、それら商品の情報発信や販路拡大を支援します。

企業の育成、新産業の誘致の推進

 空き店舗の情報を起業家へ提供したり、憩いのスペースとして活用したりするなど、商店街の活性化を支援します。
 また、環境と調和した優良企業の誘致を融資制度や奨励金制度により推進し、雇用促進と地域活性化を図ります。
 さらに、「企業立地促進法」に基づいて設置された鳥取県地域産業活性化協議会と連携し、産業のさらなる集積に向けて、企業の新規立地や付加価値向上のための様々な取り組みを推進します。

活力ある商工業づくりの推進

 地域や業種、世代間の交流活動の促進、消費者との交流機会の拡充を図ることにより、町内商工業の活性化を図ります。

人材の育成

 就業者の高齢化に歯止めをかけるための施策を推進し、意欲的な若手後継者の育成に努めます。

商工会との連携強化

 広域的な組織である鳥取県中部商工産業支援センターとの情報交換・連携強化に努めながら、経営者の能力開発とインターネット等を活用した販売技術の向上、経営相談・指導の充実を図ります。
 また、経営の近代化や安定化を図るため、融資制度を充実し、一定額以上の事業拡大や新規事業への支援体制を整えます。


インターネット
地球規模で広く相互接続されているコンピュータネットワークのこと。
ICT
information and communication technologyの略。情報や通信に関する技術の総称。日本では同様の言葉としてIT(information technology)の方が定着しているが、国際的にはICTの方が通りがよい。総務省の「IT政策大綱」が2004年から「ICT政策大綱」に名称を変更するなど、日本でも定着しつつある。
ビジネスモデル
企業が行う事業の仕組みや方法。
産学金官連携
産業、教育、金融、行政の各機関が連携し、地域の産業活性化を図ること。
コミュニティー
日常生活のふれあいや連帯感、共同意識と信頼関係を築きながら、自分たちが住んでいる地域をみんなの力で自主的に住みよくしていく地域社会のこと。