計画

3.にぎわいと活力あふれる産業のまちづくり

○農林水産業の振興

@農業
【現況と課題】

農業の振興

 本町の農業は、1,396haの耕地を基盤として1,504戸の農家によって営まれており、農家1戸当たりの平均耕地面積は1.0haとなっています。
 また、農業粗生産額は26億4千4百万円で、農業生産所得は10億3千万円、農家1戸当たり平均生産所得は685千円となっており、果樹55%、米21%、野菜11%が主な収入源となっています。
 そして、専業農家206戸、第1種兼業農家216戸、第2種兼業農家1,082戸と兼業農家が大半を占めるなど、農家の農業への依存度も低下してきています。
 このような状況の中で、町民の生活に深くかかわり、本町の基幹産業である農業の発展を目指すためには、地域の立地に適した生産システムを確立し、魅力とやりがいのある農業を推進するとともに、農村環境の整備を図っていかなければなりません。
 このため、生産基盤の整備や消費者ニーズに即した産物の振興、農業に携わる幅広い人材の育成・確保を推進することが必要です。

農産物の生産振興

 本町の基幹産業である農業は、稲作を中心に果樹・園芸農業が展開されています。転作政策として、大豆を中心とした集団営農に取り組んでいます。しかし、農業就業者数は少子・高齢化や就業者の農業離れにより、2000(平成12)年2,192人から2005(平成17)年1,830人と減少しています。さらに、農産物輸入の増加や景気の低迷により、農産物価格が不安定となっており、就農者の高齢化や中山間部を中心とする農地の荒廃が進んでいます。
 このことを踏まえ、集落を基礎とした営農組織の育成(法人化)を推進し、地域の担い手として育てる必要があります。
 本町の二十世紀梨生産は、100年に及ぶ歴史を誇り、生産者の栽培努力により名実とも日本一と呼ばれる名産品となっています。しかし、栽培は老木園と急傾斜の樹園地が多く、梨生産の省力化を進める必要があります。
 県下一の産地として成長しているブドウ(ピオーネ)生産は、老木の改植、施設の老朽化、土づくりなどの課題はあるものの、産地形成を維持していくことが必要です。
 また、施設園芸のイチゴ・メロン・ほうれん草などは、産地として定着しており、これらの市場評価の高い作物の推進を図るとともに、観光と結びついた取り組みを展開していく必要があります。
 さらに「二十世紀梨を大切にする条例」をもとに、二十世紀梨をまちの特産品として町民に再認識していただくとともに、梨・ブドウ・イチゴ・メロン・ほうれん草などは、町全体で地域活性化策や観光振興策との連携を図りながら、情報発信や地産地消の取り組みを図る必要があります。

特産梨等の産地活性化

 本町の名産である二十世紀梨は、1906(明治39)年に導入(湯梨浜町大字別所)され、2006(平成18)年で100年になります。この間、たゆまぬ努力によって、日本一の生産を誇る名産に育ちました。梨の生産は、本町の経済基盤を築き支えるとともに、山肌を利用した樹園地は、我がまちの緑豊かな景観を形成し、中山間地の維持管理や水の保全にも大いに貢献してきました。
 一方で樹園地の改良や樹種転換、後継者の確保などの課題も多く抱えています。
 しかしながら、本町が特色あり魅力ある地域として発展していくためには、二十世紀梨と東郷湖、はわい及び東郷温泉は欠くことのできない大きな財産です。このため、これらの財産を町民あげて積極的に支援し、また連携しながら活用していくことが21世紀の地域づくりとして求められています。
 また、情報通信技術を生かした販売体制を進め、消費者ニーズに対応した産地戦略を推進していくことが重要です。

農業生産基盤の整備

 生産性を高める農業生産基盤整備の推進は重要です。平野部では水田のほ場整備も中山間部を除き生産条件の改善が図られましたが、樹園地は傾斜地であることなどから基盤整備が遅れています。
 多様化する農業生産を支える土地基盤整備は、引き続き地域の特性に応じた整備を推進し、生産性の向上による農家経営の安定化が必要です。

地域農業の担い手育成

 本町の農業の就業人口は、65歳以上の割合が6割を超えるなど一段と高齢化が進み、農家人口及び農業従事者が減少しています。
 新たな食料・農業・農村基本計画では、今後、農業経営に関する国の施策は、認定農業者と一定の集落営農組織に集中的・重点的に実施することとされています。将来にわたる食料の安定供給のためには、しっかりした担い手の育成・確保が緊急の課題となっています。

遊休農地対策

 農村環境が周辺住民へもたらす多くの恩恵は計り知れないものがありますが、イノシシなどの被害、就農者の高齢化や担い手不足により農地の遊休・荒廃化が年々進み、環境が悪化しつつあります。

【施策の内容】

農産物の生産振興

 効率的な生産体制の確立と農地の有効利用を図るため、土地利用型作物を中心に、農作業の受委託や農地の利用集積を進め、集落営農組織や認定農業者等の担い手を中心とした地域農業を推進します。
 低農薬、有機栽培など環境に配慮した農業を推進し、消費者が求め、消費者に選択される農産物の供給を目指します。
 果樹・施設園芸などの振興を図るため、品種改良・省力化・生産指導など効率的な生産を推進するとともに、農産物の高品質化を推進します。
 町内で収穫される新鮮で安全・安心できる農産物を、学校給食の食材として活用し、また町内で供給・販売できる体制づくりを促進します。

特産梨等の産地活性化

 名産二十世紀梨を町民の誇りとして大切にし、地域の特産として振興していこうと「二十世紀梨を大切にする条例」が制定されています。産地復活のため町民・生産者・関係者との連携により、元気な産地づくりを進めます。
 梨生産の省力化を進めるため、おさゴールド二十世紀など耐病性品種の導入促進、また樹園地の平担化を推進し、果樹産地としての地域向上と活性化を図ります。
 日本の梨産地として、東郷梨若がえり運動を推進し、果樹園の老木に対して低コスト生産が可能な優良品種へと改植を進め、生産の安定と品質の向上に努めます。
 本町特産の二十世紀梨・ブドウ・イチゴ・メロンなどの果物、ほうれん草などの野菜を1年を通し旬の時期に提供する果物暦を作成し、販売・PR活動を行うことなどにより、果物・野菜の販売促進を図ります。

農業生産基盤の整備

 2005(平成17)年度着手した石脇地区のほ場整備を引き続き推進し、住みよい農村環境をつくるとともに、農業に取り組める環境整備を図ります。
 農産物の流通と農村地域の生活基盤の改善などに益する農道や樹園地地帯における営農労力を軽減するための農道網など、それぞれの目的にあった整備を推進します。
 老朽ため池の整備を促進し、農業用水の安定確保を図ります。
 水田の農業基盤については、効率的な用水確保と干ばつ被害の解消を図るため用排水路整備を推進します。また、水田の汎用化など本町の営農ビジョンに即した基盤整備を推進します。

地域農業の担い手育成

 高齢者の豊かな知識と経験を生かすとともに、女性の農業における役割の重要性から、適切な研修の実施など活動の助長を促し、地域農業の担い手として町と農協が一体となって育成に努めます。
 現在、町内にある6つの生産組織の持続的発展を推進するとともに「集落の農業・農地は自分たちで守る」地域農業を醸成し、集落営農の組織化を促進します。
 地域のリ一ダーとして、また集落営農の中核となる人材を育成確保するため、引き続き支援措置を講じて認定農業者の確保を図るとともに、町認定農業者協議会と連携しながら「農業経営基盤強化促進法」に基づいた本町の魅力ある農業振興を目指します。
 意欲ある就農者(Iターン・Uターン等)に対して、状況に応じた生産技術や農業経営の方法を学ぶ講習会などの実施、また就農者の支援事業を推進します。

遊休農地対策

 農地の貸借や売買を円滑に進める農地保有合理化事業を推進します。
 集落などの営農組織の育成を進めるとともに、農作業の受委託を促進し、農地の有効活用を図ります。
 認定農業者、担い手農家などへ農地の利用集積を促進します。
 イノシシなどの被害で、山間部の耕作放棄している土地の所有者の理解と協力を得ながら、農地の利用転換などを推進し環境保全に努めます。




地産地消(再掲)
地域の環境と生活のあり方などを考え地域とのつながりを強くして、地域でとれたものを地域で消費すること。