策定にあたって

1.趣旨

 わが国の社会経済情勢は、少子・高齢化の進行、長引く景気の低迷などの影響による国の財政の悪化、高度情報化の進展、地球環境問題の 顕在化、そして地方分権の進展など大きく変動し、新たな変革の時代を迎えています。
 こうした中、旧羽合町・旧泊村・旧東郷町の2町1村は、全国的な市町村合併の流れを受けて、2001(平成13)年10月1日に県内初となる法定の東郷 湖周地域合併協議会を立ち上げ、2004(平成16)年10月1日に「湯梨浜町」が誕生しました。また、合併するにあたっては、旧3町村の一体化の促進と 地域の均衡ある発展、住民福祉の向上を図ることなどを目的に、新町のまちづくりの基本方針を定め「新町まちづくり計画」を策定しました。
 湯梨浜町総合計画は「新町まちづくり計画」の基本理念である「21世紀、夢がふくらみ一人ひとりが輝くまちづくり」の実現に向けて、その内容を尊重しな がら、より発展的かつ具体的に推し進めることを目的に策定します。

2.構成及び期間

 この計画は、湯梨浜町の今後のまちづくりの指針となるもので、本町が目指す将来像やそれを実現するためのまちづくりの目標や施策の大 綱など、本町のまちづくりの最上位計画です。
 今後、さまざまな分野において計画を作成し、施策を実行する場合の基本となるものです。
 また、この計画は「新町まちづくり計画」の内容を尊重しながら、より発展的かつ具体的に推し進めながら策定します。

(1)構成

 この計画は、基本構想、基本計画及び実施計画により構成されます。

@基本構想

 町民と行政が、共に進めていくまちづくりの基本理念や方向性を示すものです。本町が目指す将来像、まちづくりの目標や施策の大綱など を掲げています。

A基本計画

 基本構想で定めたまちづくりの目標などを実現するための指針となるもので、分野ごとに方向性や主要施策などを示すものです。
 また、社会経済情勢の変化などに的確に対応するため、基本構想の計画期間を前期と後期に分けて策定します。

B実施計画

 基本計画に従って、具体的な施策、事業及び財政計画を示すものです。
 進捗状況を踏まえて毎年度見直しを行います。ただし、本書には掲載されません。

(2)期間

 計画期間は、基本構想は2006(平成18)年度から2015(平成27)年度までの10年間とし、基本計画は2006(平成18) 年度から2010(平成22)年度までの5年間とします。

3.時代の潮流

 少子・高齢化の進行、地球環境問題や地方分権の進展など、わが国を取り巻く時代の潮流は大きく変動しています。本町のまちづくりは、 こうした時代の潮流を踏まえながら進めていくことが重要です。

(1)少子・高齢化の進行

 わが国の総人口は、2006(平成18)年にピークを迎え、その後人口減少に転じるとともに、2014(平成26)年には国民の4人 に1人が高齢者になる※1と見込まれてい ます。世帯数も、2015(平成27)年にピークを迎え、その後減少に転じるとされています※2
 また、子どもの出生数も年々減少し、一人の女性が一生涯に生む平均の子どもの数(合計特殊出生率)も、 2004(平成16)年には過去最低の1.29人を記録しました※3
 このような人口減少や少子・高齢化による社会構造の変化は、生産年齢人口の減少による経済活動の低下、年金や高齢者福祉など社会保障制度の崩壊などを招 くおそれがあります。
 そのため、制度面の改革はもとより、子どもを生み、育てやすい環境づくりやお年寄りが生きがいを持って社会参加できる環境づくりなど、少子・高齢化社会 に応じた多様な取り組みが必要です。

※1[国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(平成14年1月推計)』]

※2[国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計(全国推計)(平成15年10月推計)』]

※3[厚生労働省発表(H17.6.1):平成16年人口動態統計月報年計(概数)の概況]

(2)地球環境問題の顕在化

 地球温暖化や砂漠化、オゾン層の破壊や酸性雨など深刻化しつつある環境問題は、地球規模で取り組まなければならない問題です。地球温 暖化対策では、2002(平成14)年6月に締結された京都議定書で、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを1990 (平成2)年比で、2008(平成20)年から2012(平成24)年に6%削減することをわが国に義務づけています。
 このような中で、地球環境問題を生活に身近な問題として捉え、限られた資源を有効に利用し、持続可能な資源循環型社会を構築することが求められていま す。
 そのため、省資源・エネルギーの推進、風力発電などの新エネルギーの活用、廃棄物の減量やリサイクルなど環境にやさしい取り組みが必要です。

(3)高度情報化の進展

 インターネットに代表されるIT(情報通信技術)の進歩によって、全世界が双方向の 情報通信ネットワークで結ばれることにより、情報へのアクセスは時間的・空間的な制約を受けることなく可能になりました。そして、ITの進歩は、高付加価 値産業の創出や新たなビジネスモデルの創造など経済の活性化に寄与するのみならず、人々の日常生活におけ る利便性の向上にも影響を与えています。また、高度情報化の進展は、若者や女性の起業、障害のある人やお年寄りなどの社会参加の促進につながるなど、新た な可能性を含んでいます。
 その一方で、個人情報の保護、セキュリティーの強化や情報格差(デジタルディバイド)への対応など新た な課題への対応が求められています。

(4)地方分権の進展

 地方自治体においては、2000(平成12)年に施行された地方分権一括法により、地方分権の時代を迎えました。地方分権では、住民 に身近な地方自治体へ権限を移譲することで、地方自治体が自ら考え行動し、個性豊かな地域社会を築くとともに、地域の自主性・自立性を高めていくことが求 められています。
 さらに、国庫補助負担金の廃止・縮減、税源移譲及び地方交付税制度の改革を進める三位一体の改革もまた、地域の特性を生かしたまちづくりを促していま す。
 そのためには、行政運営の見直しや財政基盤の確立など、地方分権の時代にふさわしい行政システムの確立が必要になっています。
 また、限りある資源を有効に活用しながら個性豊かな地域社会を築くために、本格的な住民参画のもと、町民とNPO、 ボランティアや企業などと協働して、地域力を生かしたまちづくりを進めることが必要です。

(5)安全・安心に対する意識の高まり

 兵庫県南部地震以降、西日本は地震の活動期に入ったといわれています。2000(平成12)年には、鳥取県西部地震が起き、近年でも 新潟県中越地震や福岡県西方沖地震が発生しています。これらの地震は、生命の安全確保や地域コミュニティーの重要性と共助の仕組みの必要性を認識させまし た。
 また、犯罪発生率の増加、犯罪の凶悪化や若年化が進み、これまでの安全神話は崩壊しつつあります。また、身近な日常生活においてもBSE 問題やウイルス関連などにより、人々の食への安全や安心に対する意識が高まっています。
 このような中、災害に強いまちづくり、防災・防犯体制の強化、食品に対するトレーサビリティーの実現、 青少年を犯罪から守る取り組みなど、安全で安心して暮らせるまちづくりを進めていくことが必要です。


合計特殊出生率
ある年における15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計した数値。一人の女性が一生の間に生む平均の子ども数とも考えら れ、この数値が、おおむね2.08を下回ると、将来、人口が減少するとされている。
温室効果ガス
地球温暖化の原因となる二酸化炭素やメタン、フロンなどのこと。
インターネット
個人や企業、大学など全世界のネットワークを電話回線や専用線で相互接続したコンピューター・ネットワークのこと。
ビジネスモデル
ビジネスの仕組み。特に、コンピューターやインターネットなどの情報システムを活用した新しいビジネス手法のことを指す場合もあ る。
セキュリティー
安全、安全保障、保安、防犯、コンピューターを利用するうえでの安全性。
NPO
行政や民間企業に属さず、社会的に必要な公益的活動をする市民による非営利の民間組織を意味する。
BSE問題
1986(昭和61)年に英国で初めて報告された牛の病気。BSEにかかると、脳の組織が海綿状(スポンジ状)になることから、 牛海綿状脳症と名付けられた。
トレーサビリティー
製品に関する原材料など生産情報、流通履歴などの情報を、遡及して確認することを可能とする仕組み。