計画

○人権尊重のまちづくりの推進

【現況と課題】

 世界人権宣言は、すべての人の個人としての固有の尊厳と、平等にして譲ることのできない権利とを承認することが、世界における自由と正義と平和の基礎であるとしています。そして、これまでさまざまな取り組みが進められてきました。
 すべての人が個人として尊重され平等な権利の下に生活するためには、行政の果たすべき責務は重大ですが、人権に関する町民の理解を得ることもまた重要です。
 21世紀は「人権の世紀」と言われており「人権教育のための国連10年」の取り組みや「子どもの権利条約」の締結など、人権尊重への国際的な取り組みが進められてきました。
 本町では、人権問題について同和対策を最重要課題として「地域改善対策特別措置法」に基づき積極的に事業を行い、生活環境の改善をはじめとして一定の成果をみています。同和対策事業への国の財政支援がなくなりましたが、差別がある限り同和問題解決のために必要な施策を行い、今後も差別解消に積極的に取り組むことが必要です。
 また、女性、子ども、お年寄り、障害のある人、外国人などの人権侵害についてもさまざまな取り組みを行ってきました。しかし、人権が侵害される事態が続いており、近年ではインターネットを利用した人権侵害など新たな問題も顕在化してきています。このため、学習や啓発活動を通じて正しい認識と理解を深めるとともに、就労、教育の問題など、解決すべき課題に向けて積極的に取り組んでいくことが必要です。

【施策の内容】

人権教育の推進

 保育所、幼稚園、小・中学校、関係機関、さらには地域や家庭との緊密な連携を図り、学校教育のあらゆる場を活用し、児童生徒それぞれの発達段階や年齢期に応じた人権・同和教育の充実を図ります。
 地区公民館を中心として人権と同和教育の充実を図ります。

相談・支援の強化

 部落差別をはじめ多種多様化する人権問題について、各種相談窓口の連携を強化するなど体制の整備・充実を図ります。
 また、人権侵害への迅速で適切な対応に向けて、関係機関との連携を深めます。

情報提供と各種団体との連携強化

 人権に関する情報収集の充実を図るとともに、広報紙やケーブルテレビなどを利用した広報、啓発活動の強化を図ります。
 また、同和教育推進大会、各種研修会、懇談会などを通して町民の人権意識の高揚に努めます。

人材の育成

 人権教育や啓発活動を推進する指導者養成講座を定期的に開催し、人材の育成に努めます。
 また、行政職員や教職員の研修を充実し、人権尊重意識の高揚や人権・同和問題解決に向けての地域活動への積極的な参加促進を図ります。

○男女共同参画社会の実現

【現況と課題】

 固定的な性別役割分担の考え方は、まだ社会の中に根強く残っており、そのことが子育て中の女性の労働力率の低下などさまざまな不平等をもたらしています。
 また、女性に対する人権侵害であるドメスティック・バイオレンスセクシュアル・ハラスメントなどの実態も顕在化しています。
 このような状況を踏まえ、国は、1999(平成11)年に「男女共同参画社会基本法」を、2001(平成13)年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」を制定しました。
 本町においても、男女共同参画社会の実現に向けて「男女共同参画プラン」を策定し、現状を把握しながら男女共同参画推進条例(仮称)の制定を目指しています。
 今後、これらプランや条例に基づき、男女が家庭、職場、地域、学校などあらゆる分野に対等な立場で参画できる男女共同参画社会の実現に向けて、町民・事業者・行政が協働して計画的に施策を推進するとともに、意識の改革を行っていく必要があります。

【施策の内容】

総合的な施策の推進

 「男女共同参画プラン」に基づき、男女共同参画社会の実現のための施策を総合的かつ計画的に推進します。
 また、男女共同参画社会の実現をより強固なものとするために、男女共同参画推進条例(仮称)を制定します。

意識の改革

 男女共同参画社会への意識の高揚を図るため、鳥取県男女共同参画センター「よりん彩」などと連携をとりながら、学校教育や社会教育を含むあらゆる場での啓発を進めます。

地域社会における男女共同参画の推進

 地域社会への男女共同参画を推進するために、女性関係団体やグループなどの学習活動への支援と交流の促進に努めます。また、さまざまな課題の解決を目指し、地域で活動する人材の育成を進めます。

家庭における男女共同参画の推進

 男女が共に子育て、家族の介護その他家庭における活動に対等な立場で参画できるよう啓発に努めます。

労働の場における男女共同参画の推進

 職場における男女共同参画の啓発に努めるとともに、仕事と家事・育児・介護などの両立支援や妊娠・出産期における健康の支援のための環境整備を事業者と協働して進めます。
 また、各種講座の開催など女性のさまざまな就労を拡大するための施策を推進します。

働く親のための子育て支援

 働く女性の就労を援助するため、放課後児童クラブや保育所の延長保育など働く親のための子育て支援を充実します。

町政の場における男女共同参画の推進

 女性の意見を行政に反映させるため、各種委員会・審議会・附属機関などへの女性の登用率の向上を図り、政策や方針決定の場への女性の参画を積極的に推進します。


ドメスティック・バイオレンス
夫や恋人から女性への家庭内暴力。夫婦間の私的な壁や世間体、夫婦間の経済力の違いなどによって、表面化することが難しい女性問題。
セクシュアル・ハラスメント
性的嫌がらせのこと。1980 (昭和55) 年ごろから、女性の尊厳・人権を侵害する重大な問題であるとして社会問題化しており、わが国でも「セクハラ」と略されて広く使われるようになった。1999 (平成11) 年4月からは、改正「男女雇用機会均等法」の施行によってその防止が事業主に義務づけられた。
放課後児童クラブ(再掲)
保護者の就労などによって放課後十分な保育を受けられない小学校低学年の児童を対象として、児童館などの施設で育成指導を行い、遊びを主とした健全育成活動の推進する保育事業のこと。