構想

5.施策の大綱

(1)次代を担う心豊かな人が育つまちづくり

 少子化や核家族化の進行など、社会環境の急激な変化を受けて、人々の価値観や生活様式が多様化している一方で、人間関係の希薄化、地域社会における教育力の低下が指摘されています。
 そのため、次代を担う子どもたちが、人間として心豊かに、たくましく生きる力を身に付けられるよう、地域社会全体で子どもの健やかな成長を支える環境づくりが必要です。健全な子どもの育成は、家庭はもとより、地域や学校における人々との交流や支え合いがあってこそ育まれるものであり、豊かな人間性を形成するための心の教育を推進する必要があります。
 また、子どもたちが地域の中で、明るく、豊かな心を持って成長できる環境を整えるために、公民館等を拠点とした文化活動や健康づくりのためのスポーツ活動など、生涯学習環境の充実に努めます。
 さらに、子どもの発達段階や年齢期にあわせた人権教育の充実に努めるとともに、男女共同参画社会の実現へ向けた施策の推進など、あらゆる機会を通して、次代を担う子どもたちの育成に努めます。

・生涯学習環境の充実

 町民だれもが自分のライフスタイルにあわせて、どこでも、いつでも学習できるように、生涯学習環境の充実を図ります。
 そのため、「湯梨浜町社会教育計画」に基づいた施策の展開を行い、町民主導・地域主導の生涯学習が実現できるよう支援するとともに、生涯学習活動の中心となる指導者やリーダーの育成・確保を図ります。
 また、図書館においては、図書、その他の資料及びサービスの充実を図りながら、子どもの読書活動の推進に努めます。

・学校教育の充実

 児童生徒が世界的な視野をもって地域の課題や情報化、国際化に柔軟に対応し、個々の将来を切り開いていく力を養うため、個性を伸ばしながら将来にわたって生きる力を育む学校教育を充実します。
 そのため、学校、地域を通して伝統的な歴史、文化を大切にし、豊かな自然環境と地域の産業を活かした特色ある教育を行うとともに、社会人講師、地域講師の活用や教科横断的な総合学習の充実を図り、地域全体で学校教育の充実に努めます。
 さらに、家庭を基本とし、幼少期からの発達課題や、地域や個々の課題に対応した教育を行うため、保育所・幼稚園・小中学校や関係機関が連携して家庭や地域、学校のあり方等を話し合うシステムを構築し、地域に「開かれた学校づくり」を行うとともに、幅広い教育体制の整備に努めます。

・次代を担う青少年の育成

 放課後児童クラブ放課後子ども教室等をはじめ、青少年育成湯梨浜町民会議の活性化を促進し、家庭や学校、地域社会が一体となって青少年の健全育成を推進します。
 また、青少年の社会参加を促進し、指導者の養成や相談体制の充実など、青少年を取り巻く環境の改善に努めます。
 さらに、地域でボランティア活動や文化活動等に取り組む若者を積極的に支援し、若者がつどい、いきいきと暮らせるまちづくりを推進します。

・生涯スポーツの推進

 町民のだれもが、いつでも、どこでもスポーツやレクリエーションを楽しむことができる環境づくりに努めるとともに、町民の豊かな健康づくりを支援します。
 また、本町が積極的に実施している各種スポーツ大会の充実を図りながら、地域に根ざした総合型地域スポーツクラブの育成を行うなど、生涯スポーツ、競技スポーツの環境づくりを推進します。

・地域文化の保全と活用

 東郷池周辺の豊富な歴史的文化遺産を保護啓発することはもとより、新たな文化を創造し、県内外へ向けた積極的な情報発信に努めます。
 また、地域に古くから伝わる伝統行事等の無形文化財を後世に伝えるとともに、既存の文化財の保護に努めます。
 さらに、町民の文化活動を支援するため、各種文化サークルや団体の育成に努めながら、公民館等活動の拠点となる施設利用の促進を図ります。

・人権尊重のまちづくりの推進

 本町の将来を担う人材を育成するために、人権に対する感覚を身につけ、それぞれの発達段階や年齢期に応じた人権・同和教育の充実を図ります。
 また、町民が参加できる講演会や研修会をはじめ、地域における取り組みを通じて、人と人とのつながりを大切にするまちづくりを推進します。

・男女共同参画社会の実現

 男女共同参画条例の目的として掲げている男女共同参画社会の実現に向けて、「第2次男女共同参画プラン」に基づいた施策の展開を図り、あらゆる場面での男女共同参画に努めます。
 また、女性の町政への積極的な参加を進めるとともに、地域社会での男女共同参画を進めるため、女性関係団体、各種関係団体やグループ等を支援します。

(2)未来を創造する先駆的なまちづくり

 将来を見据えながら、より魅力的なまちづくりを推進するために、計画的かつ利便性の高い取り組みを行う必要があります。
 そのため、国土利用計画をはじめとする様々な関連する計画に基づきながら、適切な土地利用に努めます。
 また、光ファイバー網による情報通信ネットワークを活用しながら、住民生活の利便性の向上を図るとともに、住民サービスの充実に努めます。
 さらに、環境にやさしいまちづくりを推進するため、環境保全に対する意識の醸成に努めるとともに、省エネルギーの普及促進、自然エネルギーの活用など、新エネルギー対策を推進します。

・都市機能の充実(快適な都市空間の創造)

 近年、本町でも進行する少子高齢化傾向に対応するため、すべての人にわかりやすい表示や利用しやすい公共施設の整備に努めるなど、住んでいてよかった、この町に住んでみたいと思える思いやりのあるまちづくりを目指します。
 そのために、ユニバーサルデザインの推進、公共施設や道路のバリアフリー化を進めるとともに、住みやすい環境づくりのため、道路や公園等の整備はもとより、福祉にも配慮した総合的で計画的なまちづくりの推進を行います。

・情報通信環境の整備

 町民のだれもが、いつでも、どこからでも、安全で、安く、格差のない情報サービスを受けることのできるように、CATVインターネットを利用できる環境整備を進めてきました。
 今後は、障がいのある人やお年寄りが手軽にICTを活用しやすい環境をつくるなど、利用環境のユニバーサルデザインの推進に努めます。
 また、保健・医療・福祉、教育、行政サービスなど、様々な場面でのICT環境の充実に努めます。
 さらに、情報化に伴う安全対策の推進や個人情報の保護など、セキュリティーの強化にも努めます。

・資源・エネルギー対策の推進

 恵まれた自然環境を有効活用し、太陽光発電や風力発電等の自然エネルギーの普及を目指すとともに、省資源・エネルギーなど、日常生活における環境にやさしい取り組みを推進します。
 自然エネルギーの活用は、環境問題を考える上でも先進的な取り組みであり、地域活性化へ向けて継続的に維持、推進を図る必要があります。
 また、環境施策の積極的な推進を通して、さらなる環境意識の醸成と普及促進に努めるとともに、新たなクリーンエネルギーのまちづくりを推進することが必要です。

(3)にぎわいと活力あふれる産業のまちづくり

 町の活性化を図り、自立したまちづくりを行うためには、地域特性を活かした個性豊かな産業の振興が大切です。
 そのため、二十世紀梨等の特産物を活かした果物王国を目指す農業、東郷池のシジミや日本海の豊富な海産物を活かした漁業、地場産業の振興に努めます。
 また、新しい活力を創造するために、温泉や歴史・文化、自然・健康、環境を核とした観光など、地域の資源を活かしたまちづくりを進めます。

・農林水産業の振興

 若者が定着し、魅力ある産業となる施策を積極的に展開しながら、後継者や新規就業者の確保に努めます。
 また、農協をはじめ各関係団体との連携を深めながら、地産地消*と付加価値の造成に努めます。
 そのため、町の地域資源を活かした特産品開発や販路拡大、二十世紀梨等の果物王国の形成、シジミ、ヒラメ、ドジョウ、岩ガキ等の水産物の漁業振興、観光産業や温泉資源と結びつけた産業振興に積極的に取り組みます。
 さらに、老朽化した農道や用排水路を再整備し、優良農地の集積と高度利用を促進するとともに、農作業の効率化と高収益農業の定着化、並びに遊休農地及び耕作放棄地対策の推進を図ります。
 林業においては、水源かん養等の様々な機能を持った森林の保全確保により、健全な森林資源の維持、造成を推進します。

・商工業の振興

 商工会との連携を強化し、経営者の能力開発とインターネット等を活用した販売技術の向上を図ります。
 また、ICTを活用したビジネスモデルの構築を積極的に推進し、農商工連携及び産学金官連携事業の検討を行いながら、新しい分野への進出も視野に入れた産業振興や新たな産業の誘致を促進します。
 さらに、中小企業における経営の近代化や安定化を図るため、融資制度を充実し、一定額以上の事業拡大や新規事業への支援体制を整えます。
 商工業はもとより、農林水産業や観光業等とも連携しながら、地域の特徴を活かした特産品の開発等を進めるとともに、本町における産業環境の形成と就労環境の向上を図ります。

・観光の振興

 豊かな自然、歴史、文化等の多様な地域資源を活かすため、東郷池周辺を中心とした有機的なネットワークづくりを行うとともに、「見る・食べる・遊ぶ・癒す・集う」ことをテーマとした観光・レクリエーションの充実を図りながら、町内2つの温泉地への誘客に向けた取り組みを推進します。
 そのため、活気ある温泉街など、魅力にあふれた温泉地づくりに努めながら、東郷池をはじめとする周辺景観に配慮した環境づくりを実践することにより、多くの人が滞在できる広域観光を推進します。
 また、商工観光業等関係機関との連携を深めながら、本町の魅力を幅広く伝えるための情報発信、宣伝活動の充実に努めます。

・雇用及び労働福祉対策の推進

 農林水産業、観光業、商工業等の各産業が有機的に結びつき、本町の自然環境や地域資源を活かした産業開発、企業発展に力を注ぐとともに、人材育成と雇用の確保に努めます。
 また、既存企業の近代化、高付加価値化の推進や、空き店舗等を活用して起業家の支援を行うなど、雇用機会の拡大に努めます。


ライフスタイル
生活の様式・営み方。また、人生観・価値観・習慣等を含めた個人の生き方。
放課後児童クラブ
児童福祉法第6条の2に定める「放課後児童健全育成事業」。保護者が就労等により家庭にいない小学校に就学している児童を対象として、授業の終了後に小学校の余裕教室や児童館等の施設を利用しながら、適切な遊び及び生活の場を与えて、健全な育成を図る事業。
放課後子ども教室
放課後や週末等に小学校の余裕教室等を活用し、子どもたちの安全・安心な活動拠点(居場所)を設け、地域の方々の参画を得て、学習活動やスポーツ・文化芸術活動、地域住民との交流活動等の取り組みを推進することにより、子どもたちの社会性、自主性、創造性等の豊かな人間性を育むとともに、地域の子どもたちと大人の積極的な参画・交流による地域コミュニティーの充実を図る事業。
総合型地域スポーツクラブ
多世代(ジュニアと成人、ジュニアと中・高年齢者、青年と中・高年齢者等)、多志向、多種目(2種目以上のスポーツ活動)により活動しているクラブ。
ユニバーサルデザイン
文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障がい・能力の如何を問わずに利用することができる施設・製品・情報の設計(デザイン)をいう。
バリアフリー
障がいのある人やお年寄りが、生活、利用するうえでの障壁を取り除くこと。
CATV
community antenna televisionの略。電波による無線放送ではなく、ケーブルを用いて伝送するテレビジョン放送。有線テレビジョン放送、またはケーブルテレビジョンともいう。テレビジョン放送の再送信はもちろん、自主制作テレビジョン番組のほかファクシミリ、静止画、文字情報など、音声や音楽を扱う有線ラジオ放送以外のすべての有線放送。
インターネット
地球規模で広く相互接続されているコンピュータネットワークのこと。
ICT
information and communication technologyの略。情報や通信に関する技術の総称。日本では同様の言葉としてIT(information technology)の方が定着しているが、国際的にはICTの方が通りがよい。総務省の「IT政策大綱」が2004年から「ICT政策大綱」に名称を変更するなど、日本でも定着しつつある。
セキュリティー
危険から守り安全を保つこと。また、社会の秩序を守ること。不慮の事故や天災から守る防犯と悪意のある人物や団体から守る防犯に大別される。
地産地消
地域生産地域消費の略語。地域で生産された農産物や水産物等をその地域で消費すること。
ビジネスモデル
企業が行う事業の仕組みや方法。
産学金官連携
産業、教育、金融、行政の各機関が連携し、地域の産業活性化を図ること。