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湯梨浜町の天然記念物
天然記念物
[県指定]トウテイラン自生群落
所在地:湯梨浜町上橋津・宇谷・小浜
オオバコ科クワガタソウ属の多年草で、町の花に選定されている。茎の先端に穂状の花序が付き、瑠璃色の花が下から上へと徐々に開いて、7月下旬から10月頃まで長く観賞することができる。白い綿毛におおわれたシルバーリーフが特徴的で、園芸用にも親しまれている。中国湖南省にある洞庭湖の水のように花の色が青く澄んでいることから、「洞庭藍(とうていらん)」と名付けられた。
野生のトウテイランは極めて希少で、絶滅危惧種に分類されている。本町のほかには、島根県の隠岐諸島、京都府の京丹後市など山陰の海岸部のみに自生している。町内の3か所の自生群落は、県の天然記念物に指定されており、無断で採取することは禁止されている。
橋津の「トウテイランの里」には約2千株のトウテイランが植えられており、夏季には青紫の花々とハワイ海水浴の青い海を眺めることができる。
[町指定]松崎神社社叢
所在地:湯梨浜町松崎
松崎神社の社叢はシイの木を主体として、タブの木などの常緑広葉樹が加わったものである。境内のスダジイは神木で、目通り周囲6m、樹高15mに達し、樹齢は約350年と推定されている。
[町指定]宮内井戸の椿
所在地:湯梨浜町宮内
早稲田神社の前にある椿の古木。幹の目通り直径50cm、樹冠は南北10m、東西8.8m、樹齢約200年といわれ、春先には真っ赤な花を多数つけるヤブツバキである。樹の下には井戸があり、清水がこんこんと湧き出ている。飲料水に乏しかった宮内地区の人々の、数少ない水源の一つであった。水源涵養のための樹として、大切に保護されてきた。
[町指定]更田家のシイの木
所在地:湯梨浜町久見
更田家の前庭に生育している。ツブラシイと呼ばれる大木で、目通り周囲5.5m、樹高20m、枝張り直径は12.2mあり、樹齢約500年と推定されている。
[町指定]更田家墓地のマキの木
所在地:湯梨浜町久見
更田家の古い墓地に、イヌマキと呼ばれているマキの木が生育している。イヌマキは暖地性の樹木であるが、更田家のものはまれに見る古木大樹で、支幹は5本から成っており、植物学上貴重である。樹齢約300年といわれており、目通り周囲3.3m、樹高約30m、枝張り直径15mで樹勢は旺盛である。
[町指定]国主神社の社叢
所在地:湯梨浜町漆原
北福に鎮座する国主神杜の杜叢は、標高10mの平地の境内にあり、タブノキ・ケヤキ・ムクノキ・ヤブツバキ・スギ・ムクロジなどの巨木、老木を主体にする疎林である。社殿裏のタブノキは樹齢が最も古く、およそ500年と推定される。目通り周囲5.6m、樹高25mで、神木としてあがめられている。社殿前のムクノキは、目通り周囲4.7m、樹高25m、ケヤキは目通り周囲3.8m、樹高25mで、共に樹齢250年とみられ、近在では珍しい巨木である。
[町指定]百年樹(二十世紀梨の古木)
所在地:湯梨浜町久見
旧東郷中学校の東側の梨園に、湯梨浜町に二十世紀梨が導入された初期の樹がある。二十世紀梨は鳥取県の産物の筆頭にあげられているが、その中でも湯梨浜町の梨は昔から質・量共に最高で、日本一であると言っても過言ではない。千葉県で発見、育成された二十世紀梨は、明治37年(1904)春、鳥取市桂見の北脇永治氏が、初めて県内に苗木を導入。当時は長十郎などの赤梨が栽培されていたが、二十世紀梨の品質の良さを買って接木によって品種改良を加えたものである。
この百年樹は、明治39年に久見の更田安左衛門が高田豊四郎(三朝町出身の技師)から枝を譲り受け、早生赤梨に接ぎ木をしたもので、二十世紀梨栽培の歴史を物語る古木である。幹回り約2m、枝は東西約14m、南北約16mに広がる全国屈指の梨の巨木である。