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湯梨浜高等学校卒業式祝辞 ~『デフレの正体』を読んで~(H23.3.1)

印刷用ページを表示する掲載日:2017年2月1日更新 <外部リンク>

 本格的な春到来の近きを思わせる昨今ですが、本日、湯梨浜学園湯梨浜高等学校をご卒業になる生徒の皆さん、おめでとうございます。皆さんのご卒業を心からお喜び申し上げます。

 皆さんはこの3年間、校訓であるである「自主・自律」の精神の下、自らの能力を高めながら、豊かな感性と健康な身体を培ってこられました。ここで身につけられたことを胸に、元気に羽ばたいてほしいと願っています。

 今、わが国は、大きな過渡期にあります。企業業績には回復が見られるものの国民目線からいえば不況は長期化し、喫緊の課題である国の財政や国民の医療・福祉などに関する制度設計にも一定の結論を見出すには程遠いのが現状です。この春、大学卒業予定の者の就職内定率は、昨年12月1日現在で68.6%とわが国の雇用情勢は極めて厳しい状況にあることが報道されました。

 このような経済状況にあるわけですが、私は、今年に入ってから『デフレの正体』という本を読みました。皆さんの中にもお読みになった方があるかもしれませんが、藻谷浩介という日本政策投資銀行地域企画部の参事をしておられる方が書かれた本です。ある研修の中で総務省の高官がこの本を薦めておられたので、読んでみようと本屋に行きました。テレビのニュースなどで見ましたが、この本は、1月10日に管首相が東京八重洲の本屋で購入された7冊の本の中の1冊ということです。私が行った本屋では、その本のそばに「管総理大臣もお買い上げになりました」と表示してありました。

 そのことはさておき、この本の中で筆者は、今のわが国の経済状況は、日本が国際競争に負けた結果ではなく、国際競争とは無関係に進行する「内需の縮小」によるものだと中国との関係や貿易収支の黒字額の推移などを用いて主張しています。また、小売指標や個人所得は大都市も地方と同様に傷んでいることから、大都市と地方の地域間格差によるものでもないとしています。景気にも関係のない何かにより日本中が内需不振に陥っているというのです。

 筆者は、その原因を、現役世代の減少と高齢者の激増にあると説いています。働いて儲けたお金を自分や家族のために使う現役世代、すなわち、生産年齢人口が減少し、所得があってもあまり消費する必要のない高齢者が増加していることにあるとしています。これまでの日本の歴史の中で現役世代、すなわち、生産年齢人口は、常に右肩上がりで増加していましたが、それがどんどん減少していくことから、百年に一度のリーマンショックどころではなく、二千年に一度の人口の波が、わが国を覆っていると表現しています。

 筆者は、その解決策として、高齢富裕層から若者への所得移転、女性の就労と経営参加(これは生産年齢人口を増やすだけでなく、子どもの数も増加にもつながります)、外国人観光客・短期定住客の受け入れなどを提案しています。それと同時に、付加価値率の高いサービス業の重要性、ブランド化などにも本の中で触れており、まちづくりを進めていく上でのヒントも得たような気がしています。

 団塊世代の現役からのリタイアとともに高齢化が進み、少子化の影響により生産年齢人口の増大は見込めないという状況がこれから果てしなく続きますが、この困難を、私たちは英知を結集して乗り越えねばなりません。私たちは、今その現場に立会い、国の新しいフレームといいますか、大げさに言えば国の新しい形づくりに立ち会っているのです。そして、それは、皆さんの自身の未来づくりでもあります。

 皆さんが、それぞれの道で、己を信じ、たくましく自らの人生を切り開かれることを祈っています。そして、時には、この学園はもとより湯梨浜町のことを思い出し、訪れてください。皆さんは、この湯梨浜の地で様々な活動をされました。湯梨浜の自然も町民も皆さんを歓迎いたします。

 終わりになりましたが、卒業生のご家族の皆様、そして、情熱をもって教育に当たられた教職員の皆様にもお喜びを申し上げ、挨拶とさせていただきます。本日は、おめでとうございます。