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平成27年度施政方針

印刷用ページを表示する掲載日:2017年2月10日更新 <外部リンク>
平成27年3月9日


 平成27年度当初予算案を提出するに当たり、町政遂行の方針を申し上げ、議員各位及び町民の皆さんのご理解とご協力を賜りたく存じます。

 我が国の現状を見ますと、経済、雇用等の面で改善がみられるものの、社会保障と消費税、震災復興、エネルギー、TPPなど、多くの決断すべき、あるいは強力に推し進めるべき課題を抱えています。
それと同時に、農業をはじめとする第一次産業、少子高齢化、地域格差など、長い期間を経て蓄積し、これまで国及び各自治体が取り組みながらも解決の道筋の立っていない重要な課題が、我が国のそして地方の前途に大きく横たわっています。
この様な中、国においては、昨年9月、内閣総理大臣を本部長、地方創生担当大臣を副本部長とするまち・ひと・しごと創生本部の設置を閣議決定、11月には、まち・ひと・しごと創生法と地方再生法の一部を改正する法律、いわゆる地方創生関連2法が成立しました。これを受け、町では、課長補佐級職員からなるワーキングチームを組織し、わが町の創生施策の検討を始めました。

 12月には、まち・ひと・しごと創生法が施行され、まち・ひと・しごと創生本部が法定の本部となり、暮れの12月27日には、まち・ひと・しごと創生法に基づく「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」及び「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定、消費喚起や急激な円安に対応するための経済対策で、地方創生に関する交付金4,200億円が閣議決定されました。これを受け、町では、正月休中の1月3日、各課長を集め、「湯梨浜町げんき・いきいき・かがやきのまち創生本部」を立ち上げ、閣議決定の内容説明と今後の対応を話し合い、1月5日には、各課の検討状況を持ち寄り意見交換をしました。

 1月9日には補正予算の閣議決定、2月3日には国の補正予算が成立、町でも2月27日臨時会を開催し、それまで検討してきた地域住民生活等緊急支援のための交付金事業87,744千円の議決をいただきました。この内訳は、消費喚起型としてのプレミアム商品券等4千3百万円余、地方創生先行型として、観光入込客の増による地域振興、子育て支援、移住・定住の促進、起業・新分野への進出支援、農産物のブランド化と6次産業化、地域防災力の強化などからなる4千4百万円余からなるものです。

 このため、平成27年度は、この補正予算と平成27年度当初予算を含んだ14か月予算であると考えており、以下、分野別に、新規事業を中心に補正予算分と当初予算分を織り交ぜながら、所信を申し上げます。

 まず、まちづくりにつきましては、これまで「天女のふる里づくり」を推進、ゆりりんによるイメージ戦略、ノルディック・ウオーク大会や天女サミットの開催、さらには、湖周ウオーキングコースへのトイレの設置など、ハード・ソフト両面から東郷湖周の魅力アップに努めてきましたが、近いうちに、これまで種をまいた二つのことが実現しそうです。ひとつは、先週、県から連絡があったのですが、「日米友好の木・ハナミズキ・イニシアティブ」によるわが町へのハナミズキの木の寄贈が決まりました。4月にはアメリカ総領事等をお迎えし、記念植樹を行う予定です。東郷湖羽合臨海公園の魅力アップとフラワーロード計画が一歩前進します。もう一つは、全国市町村振興協会の市町村振興を掘り起こすための助成事業に、天女のふる里づくりのうち、モニュメントの設置や伯耆国の羽衣天女伝説の発刊、ウオーキング大会の実施や他の市町村との交流などを入れて手を挙げています。これが採択になれば、天女のふる里づくりの象徴的な部分が大きく進展することになります。

 また、都市地域から湯梨浜町に移住し、地域協力活動に従事する地域おこし協力隊を募集し、空き家対策の促進や地域の活性化を図ることとしているほか、地方創生先行型で、IJUターンの促進、空き家情報バンク活用支援、若者夫婦・子育て世代の住宅新築・購入支援などを行い、これまで多少手薄であった移住・定住促進に力を入れることにしています。

 なお、27年度は、第3次町総合計画のほか、過疎地域自立促進特別措置法の有効期限延長に伴う5年間の後期過疎計画を策定することとしています。まち・ひと・しごと総合戦略との整合性を保ちながら、町の未来づくりの道しるべとすべく、町民の皆さんの意見等も良く伺い、具体的で実効性のある計画としたいと考えています。

 次に、地域における住民の安全・安心の観点からは、まず、防災面で、地方創生先行型で、自衛隊OB職員を活用し、自主防災組織の育成や地域ごとの防災訓練などを通じ、地域の実情や災害の種類に応じたより細やかな啓発活動、地域防災力の強化に取り組みます。消防団の再編に伴う消防車庫の建設も予定しています。
また、福祉と関係した面では、地域住民が主体となって災害時要援護者の避難支援を行うための支え愛マップづくりを5集落で行うための支援を引き続き行うこととしています。そのほか、県による東郷池の浸水対策工事は、東公園のあたりの嵩上げ工事が進められるように伺っています。

 道路の整備等については、町道では、景宗寺長和田線が完成となるほか、松崎田畑橋線第2期工事のための用地買収等を促進します。また、藤津地区の急傾斜崩壊対策事業については、県事業で2億円をかけ、用地買収と工事着手します。これから長く続く大規模な工事であり、円滑に進むよう町としても配慮してまいります。これらを通じ、安全で住みよいまちづくりを進めてまいります。
 
 次に、産業の振興についてです。平成27年度は、観光・農業等において積極的に打って出る年にしたいと考えています。
まず、観光面から申し上げますと、地方創生先行型の中で、グラウンド・ゴルフの国際化及び大韓ウオーキング連盟との連携、観光関連施設へのWi-Fi環境整備などによるインバウンドの促進と観光入込客の増加を図ります。また、高速バスへの本町PRラッピングの実施により町の認知度を高めるつもりです。そのほか、県の協力もいただき、2021年のワールドマスターズゲームズの開催を視野に、潮風の丘のグラウンド・ゴルフの聖地化にも取り組むこととしています。国際化によるインバウンドの促進などは時間とお金のかかることですが、地方創生総合戦略の5年間に様々な手立てを講じ、東郷湖活性化プロジェクトの目標である年間観光宿泊客20万人を目指します。

 次に、農業については、地方創生先行型分として、農業団体等との連携により、海外への売り込みや国内物販展への参加等により、販路拡大とブランド化に努めます。また、近年、集落営農の組織化等に力を入れていますが、職員の頑張りもあり、集落営農組織は、この2年間で5組織増え現在10組織となり、多面的機能支払の農地・水についても、昨年6集落が新たに加入されました。引き続き組織化を進め、機械施設の整備の支援等を行いながら、農地の維持、農村環境の保全と向上等を図ってまいります。

 また、梨生産振興関係では、新たに霜による害を防止するためのファンやスプリンクラー等設置に関する支援をするほか、竹林整備も促進することにしています。

 次に、水産業については、井戸海水を活用した陸上養殖施設の建設について県とともに引き続き支援することとしています。

 商工業については、消費喚起型を活用し、商工業の振興と町民の生活支援のため、8千万円のプレミアム商品券を販売するほか、道・海・池・町・森それぞれの駅で通用する商品券の販売、低所得者向けあるいは多子世帯への商品券の交付などを行います。

 また、地方創生先行型で、町内事業者の起業・新分野への進出、6次産業化等を支援するためのスタンダードな基準を創設し、町内事業者の育成、振興に取り組むとともに、アロハカーニバルを実施し、ハワイの知名度を生かしたアロハ丼の新商品開発等を支援し、情報発信と町内飲食店の振興を図ることにしています。

 次に、環境関係では、引き続き環境美化活動や啓発活動に力を注ぎます。

 地球資源の保護等のため、積極的に取り組んでいる新エネルギーの創出について、現時点における町内の太陽光発電施設は、メガソーラー4施設を含む6施設が稼働し、6,678キロワット、約1,800世帯分の電力が供給されています。現在、2施設、2,000キロワットが施工中であり、これが完成すれば、2,400世帯分の電力が供給されることになります。

 また、東郷地域の温泉を活用した発電施設も事業主体が決まり、いよいよ動き始めましたが、単に温泉熱発電にとどまらず、効率性の向上や地域活性化に資す2次利用策も検討します。

 次に、住民の健康の維持・増進については、平成26年の国保会計の状況を見ますと一人当たりの医療費は昨年の大幅な増加を引き継ぐ形で高止まりしています。また、現在の税額にしてから丸3年が経過している時期でもあることから、予算の検討段階で、国保税の見直しも検討したのですが、今年は介護保険がかなりの率で引上げせねばならない状況にあることから、両方を引き上げるようなことは避け、国保税は、不足が予想される2,000万円を一般会計から繰り出すことにしたところです。医療費が増加する要因としては、心臓病、脳疾患、高血圧など生活習慣病の増加や高額の医療費の増加が挙げられます。そのため生活習慣病の予防対策に力を入れるほか、高齢者の健康寿命を伸ばす取り組みを進めます。 

 具体的には、一般健診と特定健診における貧血検査を無料で実施することとしたほか、働く世代の女性支援のため、昨年から始めた子宮頚がん・乳がん検診の21歳、41歳の方の無料検診に加え、子宮がん検診の31歳、乳がん検診の51歳を新たに無料化し、受診率の低い女性がん検診の受診率の向上を図ることにしました。さらに、各種検診の受診率向上を目指し、各種健診や健康教室の受診者・受講者等ポイントを交付し、特産品をプレゼントする仕組みを作り、町民の皆さんの健康意識の高揚と受診率の向上を図ることとしています。

 湯梨浜町の平均寿命は、男性、女性とも県下の市町村で一、二を争っており、あとは、いかに健康に長生きをするかということが課題です。一般に健康寿命を延ばすには運動、栄養、休息、社会活動等が必要といわれており、ノルディック・ウオーク、グラウンド・ゴルフはその中の複数の要素を満たしていることから、より多くの町民の皆さんに楽しんでいただくため、地域消費喚起型の中に、ノルディック・ウオーク用のポールやグラウンド・ゴルフ用のクラブ購入支援などを織り込みました。
町民の皆さんが自らの健康に対する意識を高め、適度なスポーツを楽しむとともに、各種健診による健康管理、早期発見・早期治療に努めながら、健康で幸せな毎日を送っていただくことを願うものです。

 次に、福祉については、本年4月からの生活困窮者自立支援法施行に伴い、生活困窮者が生活保護適用に至る前段階で、自立支援員による自立生活プラン等支援を行い、対象者の自立促進を図る取り組みが強化されるほか、これまで生活保護費関連の住宅支援給付事業であった離職等により住宅を失った生活困窮者等に対する家賃相当の住居確保交付金の支給がこの法律により行われることになります。適切な推進と円滑な運用を図ります。

 先程、国保税について申し上げた時、介護保険料について触れましたが、今般平成27年度から平成29年度までの第6期介護保険事業計画の策定に合わせ、介護保険料の改訂、所得段階の細分化などを行うことにしていますが、介護保険料を上げねばならない理由は、65歳以上被保険者の負担割合の増加による要介護認定率の上昇とそれに伴う介護サービス料の増加があげられます。そのため、月額基準額5,210円が5,989円と、779円、率にして14.9パーセントの引き上げとなります。他町と比べて、湯梨浜町が高くなるわけではありませんが、上昇幅は大きなものがあり、改善に取り組む必要があります。地方創生先行型の中では、介護予防・健康づくりリーダーを養成することとしておりますし、第6期事業計画では、平成28年度からの認知症支援推進員の配置、認知症初期集中チームの配置生活支援コーディネーターの配置に取り組むこととしています。そのほか福祉面では、地方創生先行型分で地域集会所のバリアフリー化を進め、高齢者にとって住みやすい地域の一助にすることにしています。

 次に、子育てにつきましては、新年度から子ども・子育て新制度へ移行になります。これに伴い、就学前の子供に対し教育・保育の一体的な提供と子育て支援事業を行うため、全ての町立保育所・幼稚園を認定こども園にします。また、松崎幼稚園は名称がまつざきこども園となると同時に、地元住民の皆さんの要望の強かった3歳未満児の受け入れを開始します。

 また、平成24年度から検討を始めた、東郷保育所と花見保育所を統合する保育所は、4月1日、とうごうこども園として開園します。新保育所の建設のためご尽力をいただいた東郷地域こども園整備検討委員会  の皆様をはじめ、関係者の皆様にこの場を借りてお礼を申し上げます。

 なお、昨年、子育て期間中の間断なき支援のため、1年につき2回であった特定不妊治療の助成回数を無制限にするとともに、新たに人工授精や不育治療に要する費用の助成制度を設けました。現在のところ、特定不妊治療の3回目を活用された方はございましたが、人工授精、不育治療については、相談があったものの申請はございません。もともと絶対数としてはそう多くないと思いますが、活用していただくようPR等に努めたいと思います。

 また、昨年、縁結び役を果たしていただく支縁員の登録制度を設け、現在9名の支縁員がおられ、1件の成立を見たと伺っています。今後、近隣の市町とも連携しながら、出会いの場の設定等も進めてまいります。

 なお、平成25年の湯梨浜町の合計特殊出生率は、2.06で県下の市町村の中では3番目でした。これまでも県下でトップクラスですが、子どもがほしい方の思いを実現し、少子化を克服するためにも、この数値が2を超えて定着するよう努力してまいりたいと考えています。

 そのほか、任意の予防接種として、36週未満の乳児へのロタウイルス予防接種について助成制度を設けたほか、地方創生先行分では、1歳未満児の家庭育児支援のため、母親に育児休業制度が無い状態、あるいは、育休として休業を認められた期間であってもその間の手当てがない状態で、家庭で子供を育てられた場合には、給付金を支給することとしました。さらに、多子世帯支援として、県と連携し年度中途からでも、第3子の保育料無料化を実施したいと考えています。
 地方創生先行分では、ワークライフバランスセミナーを開催、事業主の理解を高め、育児休業制度促進などを図ることにしています。少子化の克服に向け、子どもを産み育てやすい環境づくりに、引き続き力を注ぎます。
 
 教育関係については、北溟中と東郷中を統合する新中学校及び学校給食センターの建設について、用地買収、農振解除、農地転用などの手続きを進める一方、基本設計・実施設計を発注し、現在、用地購入費の支払い手続き、表土の剥ぎ取り工事や文化財確認調査の準備をしているところです。新年度は、実施設計・造成工事などを行う予定です。なるべく早い年次の開校を目指し、取り組んでまいります。

 そのほか、昨年の東郷小学校に続き、今年度は、羽合小学校の5,6年生の教室にエアコンを設置するほか、これも昨年に続き老朽化した北溟中学校のスクールバスを更新します。

 社会教育関係では、中央公民館講堂の冷房設備の取替工事を行うことにしています。また、昨年スタートした新たな公民館体制について検証できればと考えています。

 なお、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正に伴う教育委員会制度改革につきましては、基本的な施行日は平成27年4月1日ですが、現教育長が任期中である場合には、その任期満了まで、教育委員長と教育長の一本化は行わなくてよいとされており、当面は、総合教育会議の設置とそれによる教育行政の大綱の策定を行ってまいります。

 地方創生は、東京への一極集中を是正し、地方の再生を図ることにより、人口減少に歯止めをかけ、持続的発展可能な国をつくることにあります。今後、長期ビジョン、まち・ひと・しごと総合戦略の策定作業にかかりますが、住民の皆さんはもとより、各界の皆さんのご意見を伺いながら、湯梨浜の未来に貢献しうるしっかりとした戦略を立て、強力に推進していきたいと思います。そのためには、町民の皆さんの思い、提案や参画が不可欠です。より多くの町民の皆さんが、推進母体となっていただきますよう重ねてお願いし、施政方針とさせていただきます。長時間のご清聴ありがとうございました。