平成28年度施政方針
平成28年3月10日
皆さんおはようございます。
平成28年度当初予算案を提案するにあたり、所信の一端を申し述べ、議員各位並びに町民の皆さまのご理解とご協力を賜りたく存じます。
平成28年度は、「第3次湯梨浜町総合計画」や「湯梨浜町過疎とみなされる区域に係る過疎地域自立促進計画」いわゆる過疎計画がスタートする年です。これらの策定作業に当たっては、広く町民の意見を求めるとともに、昨年10月に策定した「湯梨浜町まち・ひと・しごと創生総合戦略」との整合性の確保にも配慮したところです。
新年度は、地方創生加速化分としてこの2月に補正予算を計上した生涯活躍のまち、湯梨浜町版CCRCの推進及びグラウンド・ゴルフとウオーキングを活用したインバウンドの促進のほか、104億円を超え、対前年15.1パーセントの伸びとなる平成28年度当初予算案には、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に係る多くの事業、新中学校の校舎等の建築工事に要する経費など、新規事業や大型事業の経費を盛り込んでいます。
これらのことから、これまで以上に、役場組織が一丸となって、町民の皆さん、各種団体の皆さん、関係者の方々とよく連携しながら、強い意志を持って取り組んでいく必要があります。
まず全体的なことから申し上げます。
ひとつは、役場の機構及び組織の一部を改め、地方創生施策を強力に推進し、重要業績評価指標(KPI)を意識した的確な進行管理を行うため、国の職員の派遣を受け、副町長として町行政に参画してもらうとともに、その執行体制を整えるための直属の機関として「みらい創造室」を設置することにしています。「まち・ひと・しごと創生総合戦略」推進のためのコントロールタワー及び重要施策の実施機関としての役割を担います。
また、まちづくりの面からは、わが町のまちづくり運動の中核をなす「東郷湖活性化プロジェクト」及び「天女のふる里づくり」の一元化を図ることにしています。これまで湯梨浜の町づくりに大きな役割を果たしてきた「東郷湖活性化プロジェクト推進会議」を、平成28年度が最終年度である天女のふる里づくりの推進母体である「東郷湖未来創造会議」と合わせた新たな町づくりの計画・推進母体を創りたいと考えています。その際は、地方創生にかかる「ゆりはま創生総合戦略会議」との役割分担の明確化等も図ります。
以下分野別に申し上げます。
まず、住民の安全で快適な生活の確保うち、防災対策につきましては、防災特別対策官による地域防災力の向上、土砂災害を含む地域防災計画の改訂等に伴う地域を巻き込んだ実践的な取り組み強化のほか、消防団の再編と消防ポンプ車の更新による消防力の強化を図ることにしています。
また、県により着々と進められている東郷湖の浸水対策は、現在施工中の県道東郷湖線長和田地区に加え、県道東郷羽合線南谷地区工事が着工となりますし、藤津の急傾斜崩壊対策工事については、用地買収・補償が進められ、一部工事着手の見込みです。
道路については、町道松崎田畑橋線2期工事の工事に着手するほか、県により、主要地方道倉吉青谷線松崎駅前の道路改良のための補償及び用地買収が進められるほか、山陰道のアクセス道としての国道179号バイパスの法線決定、国による国道9号湯梨浜地区事故対策事業の推進とその後の山陰道としての都市計画決定手続きなども進められます。
次に産業の振興については、地方創生による国の交付金等も活用しながら、農業、商工業、観光等それぞれに積極的な施策展開を図ります。農業では、平成27年度に続き遊休農地の解消に努めるほか、新品種の梨の新植支援、湯梨浜町版担い手認定制度の創設により、法律上の認定農業者及び認定新規就農者に至らない者に対しての中古機器の導入・農業機械の修繕支援のほか、6次産業化等のための販路開拓・機械整備助成等を行います。また、水産業では、漁業及び地域の振興を図るため、地域おこし協力隊員の活動を加速することにしています。
商工業では、町内商工業者の新たな起業や販路開拓等を支援するほか、従来の事業所が町民を雇用した場合の奨励金の支給に加え、広域連携として、中部圏域の事業所が圏域の住民を雇用した場合の雇用奨励金支給制度も設けました。また、3年目を迎えるアロハカーニバルも引き続き支援します。さらに、商工会青年部により、湯梨浜夏祭りが羽合地域でも開催されることになりました。補助制度を活用して事業の足腰を強くするとともに、アロハカーニバルや祭りは、町民の皆さんとも連携し、自立したイベントになることを期待しています。
観光面では、グラウンド・ゴルフの国際化、国際大会の開催、潮風の丘の聖地化、さらにはウオーキングのチェジュ・オルレや韓国ウオーキング連盟との連携、ワールド・トレイルズ・カンファレンスにおける国際大会の開催、ウオーキングと温泉の活用による健康増進等による海外からのインバウンドの促進を図るほか、中部DMOによる広域的な観光客誘致も進めることにしています。
さらに、町営国民宿舎水明荘については、経営診断の結果等を踏まえ、職員の資質の向上、組織体制の整備、弾力的な料金体系の導入、宿泊プランの充実などにより、より利用しやすく魅力ある施設づくりを進めます。
次に、移住・定住の促進の観点からは、昨年から実施、成果が見られた若者夫婦・子育て世帯の住宅新築等の支援、3世代同居住宅の新築・増改築の支援、東郷地域におけるお試し住宅の整備、移住者に対する免許取得支援、あるいは、ふるさと教育による愛郷心の醸成等などを通じ、本町への移住者の受け入れや定住の促進に努めることとしています。
また、生涯活躍のまち、湯梨浜町版CCRCを推進し、首都圏等からアクティブ・シニアを招き入れ、転入者に充実した生活、住環境、保健、医療等を提供するとともに、町の活性化と町民も充実した老後が過ごせるまちづくりを進めてまいります。
さらに、人口及び店舗の減少等が続く泊地域に、人口が減少しても人々の生活が守られ、地域に住み続けられるようにするため、様々なサービスをつないだ「小さな拠点づくり」の検討に着手します。
次に、健康づくりの面では、新たに、児童・生徒インフルエンザの予防接種費助成を行うほか、小児医療対象者年齢を18歳まで引き上げます。
また、健康寿命を伸ばすための取り組みとして、鳥取大学と連携した運動プログラム開発事業、ヨガ、積立貯筋運動からなる健康寿命延伸サポート事業、システム運動プログラム事業、CCRCとも関係する鳥取看護大学と連携した「まちの保健室」などを展開することとしています。
なお、昨年改定を見合わせた国民健康保険税については、所得割と資産割の割合を見直し、所得割の率を高めることとにしました。また、医療費の高騰もあり改定せざるを得ず、税率を約5パーセント引き上げるとともに、一般会計から5千万円の法定外繰り入れを行い、被保険者の負担を極力少なくするよう配慮しているところでございます。
このような意味からも健康寿命を延ばすための取り組みは極めて重要であり、町の特性等を生かしながら、積極的な推進を図ってまいります。
次に、福祉の面については、中部地区4町が共同委託し、直ちに一般就労への移行が困難な生活困窮者等に対し、一般就労に必要な知識、能力の向上を図るための支援等を行い就労支援に努めるほか、一億総活躍社会の実現のため国が進める低所得年金高齢者等に対する臨時福祉給付金の支給を実施します。
高齢者向けの施策としましては、介護予防・日常生活支援総合事業を1年前倒しして実施することとし、介護予防給付から外れる要支援1・2の方の訪問介護、通所介護について現行相当のサービスを提供するほか、介護予防事業として元気力アップ教室、ミニデイサービス事業、ゆりりんメイトさんに活躍していただく短期集中型サロン活動支援事業も取り入れ、高齢者の健康維持、介護予防の推進を図ることとしています。また、新たに町社協が行う乗合バスの運行事業に経費助成を行います。
次に環境面では、平成28年は、県が第2期東郷池水質管理計画を策定する時期であることから、これまで取り組んできたアダプトプログラムや水質浄化等の一層の進展を図るための方策を考えるほか、一昨年から始めた温泉熱発電と2次利用によるCО²の削減に続き、農業施設、観光施設等への3次利用の道筋をつけたいと考えています。
次に子育て支援については、申請者が増えている不妊治療助成を引き続き行うとともに、昨年から実施の1歳未満児を家庭保育した場合に支援金を給付する家庭子育て支援事業について、対象児を1歳未満から1歳6か月まで拡大します。また、第3子以降に適用する出産・入学・卒業祝い金に中学校卒業時も加えました。また、「子育て世代包括支援センター」いわゆるネウボラを設置し、妊娠期から子育て期にわたり様々なニーズの相談支援をワンストップで行う拠点とすることにしています。
さらに、県の制度改善に伴い、所得制限を設け第1子と同時入所の第2子の保育料の無料化を実施することとしたほか、町単独の措置として、所得制限なしで、第2子の保育料を国基準の半額以下の範囲内にすることとしました。
なお、子どもたちの数が減少している泊地域のこども園の在り方についても検討を始めます。
子育て支援は、人口増を図るための大本にある施策です。経済的な支援のみならず、子どもを産み育てやすい環境づくりが大切だと考えており、男女共同参画のことも含めて、子育て・介護等ライフサイクルに応じた適切な対応が取れるようにするためのワークライフバランスの確立に向け施策展開にも力を注ぎます。
次に教育面では、いよいよ新中学校の建物の建築工事が始まります。また、中学1年生を対象に学習支援を行う地域未来塾推進事業や小学校の教室等を活用した放課後子ども教室推進事業、スクールソーシャルワーカーの教育委員会事務局配置など、児童・生徒の学習支援、家庭生活環境等の問題解決などの新たな施策を実施するほか、定住促進のため、償還金減免措置がある奨学金制度の創設等も行います。
また、保護者の皆さんの要望の強かった学校へのエアコンの整備については、泊小学校4年生から6年生の教室のほか、羽合及び東郷小学校の4年生の教室も実施し、全体の進度を早め、教育環境の整備を図ります。
さらに、中央公民館大講堂屋上の防水工事等を行うほか、平成28年度があらゆる差別をなくする総合計画及び実施計画の策定時期であることから、住民意識調査等を行います。
以上申し述べましたように、平成28年度は各分野で様々な新規事業、スタミナを要する大きな事業が多くあり、起債の繰り上げ償還を行うなど、将来負担の軽減にも目くばりしながら予算編成をしました。今後、これらの施策の一つ一つを丁寧に粘り強く実施していかなければなりません。議員そして町民の皆様をはじめ、関係機関の方々のご理解とご協力を賜りながら着実に推進し、第3次湯梨浜町総合計画のキャッチフレーズである「みんなが主役 笑顔あふれる 湯梨浜町」の実現に向け取り組んでまいりたいと思います。倍旧のご支援をお願いして施政方針とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。