湯梨浜町内の公共建築物等における木材の利用促進に関する方針
平成23年10月12日
第1 趣旨
この方針は、木材の利用が森林の適正な整備、地域経済の活性化、資源循環型社会の形成、地球温暖化の防止に貢献すること等にかんがみ、本町で育ち伐採生産及び製材加工された木材を中心とする地域材(天神川流域産材・鳥取県内産材を含む。以下「木材」という。)を公共建築物等に積極的に利用することを目的として、公共建築物等おける木材の利用促進の意義、目標、その他必要な事項を定めます。
なお、この方針は、公共建築物等における木材利用の促進に関する法律(平成22年法律第36号)第9条第1項の規定に基づく市町村方針として位置付けます。
第2 公共建築物等における木材の利用促進の意義
- 木材の利用促進の意義
木材は、再生産可能な資材であり、木材の需要を拡大することは、森林の適正管理や林業・木材産業など地域経済の活性化につながり、森林が有する多面的機能の持続的発揮と資源循環型社会の形成に役立ちます。
木材は、断熱性や調湿性等に優れ、衝撃を緩和する効果が高い等の性質を有するほか、木の香りや木目の癒し効果、木肌のぬくもりが、快適な住環境の形成に役立つ素材です。また、木材は生産・加工時のエネルギー消費が小さく、公共建築物等への利用によって長期間にわたり炭素が貯蔵され、地球温暖化防止への貢献が期待できます。
- 公共建築物等における木材の利用促進の効果
公共建築物は、広く地域住民に利用されることから、木の良さを実感する機会を幅広く提供でき、公共建築物への木材利用による直接的な木材需要拡大の効果はもとより、住宅等の一般建築物や建築物以外の工作物の資材、各種木製品等への木材利用拡大への波及効果が期待できます。
特に地域内で生産・加工された木材の利用促進により、地域における森林管理や経済活動の活性化を促進できます。
第3 公共建築物等への木材の利用促進の目標
1. 木材の利用を促進すべき公共建築物等
木材の利用を促進すべき具体的な公共建築物等は、本町が整備する以下のような広く住民一般に利用される施設等とし、幅広い分野で本町産を中心とする木材の利用促進に努めるものとする。
(1)学校教育施設(小中学校・幼稚園など)、社会教育施設(公民館・図書館、青少年の家など)、社会体育施設(体育館など)、社会福祉施設(保育所など)、文化施設、公営住宅、庁舎などの公共建築物
(2)道路、河川、公園、土地改良等の木造構造物
道路 | 木製ガードレール、木製デリネータ、間伐材パネル、スギ合板型枠、案内板、工事用看板、仮設防護柵、法面吹付材など。 |
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河川 | 護岸工、杭柵、木工沈床、スギ合板型枠、案内板、工事用看板、仮設防護柵など |
公園 | あずまや、案内板、柵、標識類、遊具、野外卓、ベンチ、パーゴラ、歩道階段、手すり、木道、遊歩道路盤材、植栽支柱、工事用看板、仮設防護柵など |
農業・農村 | 柵工、筋工、簡易土留め、スギ合板型枠、工事用看板、仮設防護柵など |
(3)備品、消耗品
備品 | 事務机、協議机、ロッカー、書棚、倉庫棚など |
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消耗品 | 文房具など |
2. 木造化になじまないまたは木造化を促進する対象としない公共建築物
災害時の活動拠点室等を有する災害応急対策活動に必要な施設、治安上または防衛上の目的等から木造以外の構造とすべき施設、危険物を貯蔵または使用する施設、伝統的建築物その他の文化的価値の高い建築物または博物館内の文化財を収蔵し、若しくは展示する施設など、その建築物に求められる機能等の観点から、木造化になじまないまたは木造化を図ることが困難であると判断されるものについては木造化を促進する対象としないものとする。
なお、建築基準法等において耐火建築物とすることまたは主要構造部を耐火構造とすることが求められる公共建築物であっても、木材の耐火性等に関する技術開発の推進や木造化に係るコスト面の課題の解決状況等を踏まえ、木造化が可能と判断されるものについては木造化に努めるものとする。
3. 施策の具体的方向
(1)公共建築物
今後、本町が整備(新築・増築・改築)する低層の公共建築物(高さ13メートル以下かつ軒高9メートル以下で、延べ面積3,000平方メートル以下の施設)については、やむを得ない事由により木材の使用が適当でないと認められる場合を除き、原則として木造とし、内装は木質化を促進するものとする。
なお、これ以外の施設であっても、木造と非木造の混構造の採用を促進するものとする。
また、建築基準法等で耐火建築物・耐火構造が求められる公共建築物等でも、今後の技術開発など課題の解決状況を踏まえ、木造化が可能と判断されるものについては木造化に努めるものとする。
(2)土木構造物
本町が行う公共木造工事では、コストや維持管理に合理性を欠く場合を除き、地域産木材による各種資材の利用促進に努めるものとする。
(3)備品、消耗品
備品、消耗品は、木材を原料としたものの利用を促進するほか、認定グリーン商品の調達に努めるものとする。
(4)暖房器具等
暖房器具やボイラーなどを導入する場合は、エネルギー源として木質バイオマスを燃料とする器具等の選定について、導入及び燃料の調達や維持管理に要するコストと体制を考慮しながら導入促進に努めるものとする。
第4. 公共建築物等における木材利用促進に必要な事項
1. 木材利用促進の要請
本町以外の者が整備する公共建築物等においても積極的に木材が利用されるよう、公共建築物等の整備主体に対し、木材利用促進に係る理解と協力を得るよう広く呼びかけます。
2. ライフサイクル等の考慮
公共建築物等の整備に当っては、部材の点検・補修・交換が容易な構造とする等の設計上の工夫により維持管理コストの低減を図ることを含め、建設コストにとどまらず、その計画・設計等段階から、維持管理及び解体・廃棄等のコストを含むライフサイクルコストについて十分検討するとともに、利用者のニーズや木材の利用による付加価値等も考慮し、これらを総合的に判断したうえで木材利用に努めるものとする。
木材構造物、備品・消耗品、暖房器具等についても、購入や維持管理に係るコスト、木材利用の意義・効果を総合的に判断しながら、木材の利用に努めるものとする。
第5. 木材の適正な供給確保に関する基本的事項
公共建築物等における木材の利用促進を図るためには、その施設の建設に必要な木材が低コストで円滑に供給される必要があります。
このため、森林所有者、森林組合・素材生産業者等の林業事業体、製材業者その他の木材供給に携わる者が連携して、林内路網の整備、林業機械の導入、森林施業の集約化等による低コスト林業の推進、木材の安定的な供給・調達に関する合意形成の促進、公共建築物等の整備に係る木材のニーズに応じた乾燥材等の適切な供給のための木材加工の高度化及び流通の合理化等を推進するものとする。
第6. 推進体制
町は、木材の利用を通じた新たな町づくりの観点から、庁内連絡会議(幹部会)において、本町産の木材を中心とする地域材の公共建築物等への利用を促進するために検討するとともに、国、県及び関係各機関の円滑な連絡調整等に取組むものとする。
また、木材の利用促進が果たす意義・効果の普及啓発等を行い、地域ぐるみによる木材利用促進を目指すものとする。