第四編 民俗
第四章 人の一生
第五節 葬送

納かん
 湯かんに続いて納かんした。死体はふかずに死装束をつけた。装束はさらし布で作った。経かたびら、ふんどし、手おい、きゃはん、ずだ袋などである。はさみや物差しを使わず、布は引き裂いて縫った。糸は玉結びにしなかった。
 着物は左前に着せ、帯は男結び、手おい・きゃはんをつけ、首にずだ袋を下げた。袋には、そった髪や紙の一文銭を六枚入れた。額には三角の額紙、手に数珠、足にわらじを履かせてかんに納めた。すきまには生の茶の葉、顔の辺りには、いった番茶を紙袋に入れて詰めた。スゲがさを破って、スゲをかんに入れた。
 かんおけは十文字に縄を掛けて、仏壇の前に安置した。
   
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