第四編 民俗
第三章 生産・生業
第一節 農業

稲こき
 乾燥した稲は家の庭に取り込んでおき、千歯〈せんば〉を使って稲こきをした。稲を一握りずつ千歯ですごいてもみを落としたから、稲一把をこくのに四、五回もすごかなければならなかった。こうして毎晩一一時ごろまで夜なべ作業を続けた。落とした稲穂には火を付けてちり(ごみ)焼きをしたあと、唐さおでたたいて更に脱粒し、とおしや唐箕〈とうみ〉にかけてごみを除き、もみを選別した。
 大正末期に足踏み脱穀機が入ってから、千歯は使われなくなり、田んぼで稲こきをした。脱穀後はとおしにかけて荒ごみを除くだけの作業となり、脱穀能率は大幅に向上した。
   
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