第四編 民俗
第三章 生産・生業
第一節 農業
稲の番
八手に掛けて乾燥させている稲を盗まれることがしばしばあった。これを防ぐために村々では稲の番人を置いた。小農や非農家の人に頼むことが多かった。日暮れになると稲の番がどう(大太鼓)をたたき、田んぼで作業している村人に帰宅するよう合図した。帰りが遅いと稲盗人とみられることがあるので、皆急いで帰宅した。稲の番は村の所々に番小屋を作り、そこで数時間張り番をした。
番人の報酬は耕作面積に応じて村民が拠出した。この制度は大正時代まで続いた。
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