第四編 民俗
第三章 生産・生業
第一節 農業

草刈り
 草刈りはほばし刈りともいった。水田の肥料や牛馬の飼料にする草やしばを刈る作業である。毎朝暗いうちに起き、部落有あるいは入会の草刈り山に出掛けた。道のりは四、五キロメートルから遠い所は一〇数キロメートルもあった。
途中まで大八〈だいはち〉車を引いたり牛を連れて行くこともあった。夜が明けるころには刈り場に着き、作業を始めた。
てんびん棒がたわむほどの量の草を刈った。
 草刈りには、一かん(一荷)刈りと二かん(二荷)刈りがあった。一かん刈りの場合は午前八時に帰り朝食をとったが、二かん刈りは弁当持ちで出掛け、最初の荷は道まで降ろしてから弁当(朝食)を食べ、二かん目を刈り帰宅は昼前であった。午後は田の草取りに精を出したが、川上、羽衣石などでは三かん刈りを、麻畑では五かん刈りまでした。
 持ち帰った草は屋敷内にたい肥として積み上げておいた。また、刈り草を羽合町の田後や長瀬の人に売る場合もあった。
   
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