第四編 民俗
第三章 生産・生業
第一節 農業

二毛田の田ごしらえ
 麦刈りが終わると、二毛田の田ごしらえに掛かった。高畝〈たかうね〉の頂部をくわで頭はね(まるはねともいう)をしたあと、すきによって畝を崩すまるわりを行い、再びくわを使い土くれを小さく砕き田の面をならした。この時、たい肥やまや肥〈ご〉え(きゅう肥)を土中に埋め込んだ。田のあぜに、漏水を防ぐためあぜ塗りを行い、ここに大豆などのあぜ豆の種をまいた。
 田の元肥には、大豆かすや流酸アンモニア、過燐酸石灰などの単肥を購入して用いたが、昭和に入ってからは配合肥料が使われるようになった。
 田植えの前日に関係者で用水路に取水のためのせき上げを行い、堤の係は堤ののみ(せん)を抜いた。田に水が入れば、牛にまぐわを引かせて代〈しろ〉かきを行い、土を砕くと同時に田の面をならした。


あぜ塗り風景(長和田で)


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