第四編 民俗 第三章 生産・生業 第一節 農業 麦ワラだおし 麦刈りのことを麦ワラだおしといった。一般には水田の裏作として麦をまいたので、六月上旬ごろには麦が完熟した。これを草刈りがまで刈り取り、小さく束ねて畝〈うね〉の上に並べて乾かした。しかし、作業が遅れて梅雨期に入り、雨天が続いて乾かない場合には、大八手〈おおはで〉を組みこれに掛けて乾かした。 麦落としは、麦落とし台に麦穂を打ちつけて穂首を落とし、カラサオでたたいて脱粒した。その後、うすでついてのぎを除き、唐箕〈とうみ〉にかけて選別した。大正の終わりごろ足踏み脱穀機が導入され、麦の穂首を落とす作業はこれに替わったが、それ以外の作業は従来どおりであった。 |
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