第四編 民俗 第二章 衣・食・住 第三節 住居 一 屋敷と家 本宅 本宅とは母屋のことをいう。農家の本宅は平屋、草ぶきであった。間取りは田の字型が一般的で、少し大きな家になると中の間、料理間などがついた。 戸の口(玄関)に面した奥の間をおもて(舎人地区ではでい)と呼び、床や仏壇を据え、主人の居間とした。冠婚葬祭の場でもあり、特別な客もここで接待した。夜は主人夫婦の寝室となった。 座敷は一般来客用の接待の場であった。しかし、機織り機を置いたり、蚕を飼う蚕室にしたりする場合もあった。 部屋は夫婦の部屋であり、特別な用件がない限り他の出入りは遠慮した。一番隅の部屋で採光が悪く、薄暗いことが多かった。 居間は家族団らんの場であった。食事をしたり、いろりを囲んで子供を交えて話し合ったり、針仕事や他の夜なべ仕事をしたりした。 戸の口は、大戸にくぐり戸が取り付けてあった。普段はくぐり戸で出入りしたが、大事〈おおごと〉や農作物を持ち込む際には大戸を開けた。 にわは土間で、穀物のこなしや冬のワラ仕事、夜なべの場に使用された。片隅にはワラ打ち石が据えられていた。にわの下手にはまやを設け、牛を飼っていた。牛は家族と同様に扱われ、家人が出入りする際に様子がよく分かるよう内まやにまっていた。 まやの後はにわのく(にわの奥)で、漬物やみそ・しょうゆを保存する場所であった。薄暗く、塩分でジメジメしていた。 |
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