第四編 民俗
第二章 衣・食・住
第三節 住居
 一  屋敷と家

屋敷構え
 民家の敷地は、面積・形などそれぞれに立地条件が異なり、容易に変更することはできない。したがって、屋敷の構えを決める際には、限られた先祖代々の敷地をいかに有効に利用するかが問題となる。
 農家の場合、絶対に必要な建物として本宅(母〈おも〉屋)・門屋〈かどや〉(納屋)がある。このほかに蔵・湯殿・木小屋・手水〈ちようず〉(便所)などを加え、さらに家の上手には築〈つき〉山(庭園)を設けるのが一般的な形とされる。
 隣地との境界には境界石を埋めた。道路に面する部分には杉などの生垣や板べいを作った。
 星敷の艮〈うしとら〉(東北)の方向を鬼門といい、便所などを作ることを嫌った。
   
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