第四編 民俗
第二章 衣・食・住
第二節 食事
 二  特別の食事

もち
 特別の食事で最も共通して作られたのはもちである。もちは神饌〈しんせん〉(神に供えるもの)として重んじられ、神さんごとや人生の通過儀礼などには必ず神に供えた。正月のお供えや子供の誕生祝いに鏡もちをつくほかは小もちを作った。白いもちのほか、もち米にアワを混ぜたアワもち、トチの実を混ぜたトチもちがある。三月の節供にはヨモギを入れたヨモギもち(草もち)をついた。小豆あんをまぶしたまぶりこもち、黄な粉をまぶした黄な粉もち、中にあんを入れたあんもちなどもあった。キビを混ぜたキビもち、くず米の粉を混ぜたはたぎもちはもち米を節約するためのものであった。
   
<前頁
次頁>