第四編 民俗 第二章 衣・食・住 第一節 服飾 雨具 農作業にはかさとみのを用いた。すげで作ったすげがさには、田後〈たじり〉がさ、鹿野がさがあった。田後がさは骨に長江の真〈ま〉竹を用いた。これは節間が長く素性がよいので細工がしやすいためであった。また、真竹の竹の子の皮をすげの代わりに張り付けた竹の皮がさは、軽くて雨をはじき重宝された。 みのは、みの草・くぐ・ワラを材料にして作った。みの草は山から、くぐは湖畔の水田のあぜから刈っておいたものを冬仕事に編んだ。熟練を要する仕事であった。新みのは田植えの際、下ろして使った。 和紙に油を引いた紬紙も使った。破れやすかったが軽くて水をよくはじいたので、みのの下に着た。ゴム製のカッパを着始めたのは、一般には昭和十五、六年以後である。 外出には雨傘を用いた。淀江傘がよく知られているが、松崎にも傘屋が数軒あり、近くの需要に応えていた。 戦後は手軽なこうもり傘(洋傘)に変わった。 |
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