第四編 民俗 第一章 年中行事 第五節 冬の行事 神迎えの準備 神迎えの準備では神棚を掃除し、花立てに男松やウラジロ、もち花などを立てた。厨子〈ずし〉の後ろには一・五・三に編んだしめ飾りを取り付けた。また、神棚の前には供え棚を設け、力もちを供えた。歳徳さんは部屋(夫婦の寝室)に飾った。年俵を二俵並べ、その上に新しいワラで作ったムシロを四つ折りにして置き、年桶〈おけ〉を載せた。年桶には米一升二合(うるう月のある年には一升三合)を入れ、ほかに鏡もち・かちグリ・つるし柿などを入れた。奥の壁に歳徳神の掛け軸を掛け、その前面につり飾りを取り付けた。つり飾りはいいそもち・つるし柿・スルメ・ジンバソウ・つなぎ銭などを使った。 しめ飾りは家々で作り、大戸の口や歳徳さんには下げ飾りを、勝手口・納屋口・蔵・炊事場・牛小屋・便所・井戸・地主さん(屋敷神)などには輪飾りを取り付けた。 門松は、松・竹・梅をそろえ、ほとんどの家で立てた。門松用の松は他人の山で切ってもよかった。山持ちは大きな枝を切るのが惜しくて小さい門松を、山のない家はこの時とばかり大きい木を切り門松にした。 |
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