第四編 民俗
第一章 年中行事
第五節 冬の行事

もちつき
 正月用のもちは、早い家では十二月二十五日ごろからつき始めた。一般には二十八日が多かった。二十九日は九日〈くにち〉もちといい、九は苦につながるとして避けた。最初に神供え用の鏡もち、力もちのほか、ワラにもちを巻きつけて作る正月飾りのいいそもち、福木につけるもち花などを先に作り、その後で小もちをついた。このほかハタギもち・アワもち・トチもちなども作った。ほとんどの家が一〇うす(約二斗ぐらい)、大家族の家では二〇うす(一俵ぐらい)ついた。朝暗いうちに始めて、午後までかかった。一軒だけでなく、親せきや隣近所が共同でつくこともあり、子供たちももち運びなどを手伝った。ついでにカキもちをつく家もあった。


もちつき(藤津で)
(藤津・川崎俊行提供)


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