第四編 民俗 第一章 年中行事 第四節 秋の行事 秋祭り 十月は氏神の祭りの月である。ほとんどの神社はこの月に秋季例大祭を行った。祭りの前日、若い衆が大のぼりを村の入り口に立て、祭り気分を盛り立てた。松崎では、町内ごとにのぼりや木製の鳥居を建てるほか、ほりぼての大きな石灯ろうを設ける町内もあった。 秋祭りの日にちは神社によって次のように定められていた。 十月一日 長江神社 十月十二日 松崎神社 十月二十五日 東郷神社 〃 籠守神社 十三日 松尾神社 十一月二十六日 福永神社 〃 四日 藤津神社 一五日 国主神社 〃 九日 早稲田神社 〃 北野神社 祭りは、前夜の宵祭りから始まり、当日の本祭り、翌日の祭り明けと続いた。神社では祭典が執行され、神楽が奏された。ムラの若衆によってみこし・サカキが繰り出し、「チョーサイ・チョーサイ」の掛け声が村々を巡った。親せき縁者は互いに招いてもてなした。正月や盆に劣らないごちそうであった。甘酒も作られた。客が帰るときには、もちをついて土産とした。 のぼりは祭り明けの翌日に降ろした。祭りが終われば、早生の稲刈りが始まり、秋の農繁期がやって来た。 |
|