第四編 民俗
第一章 年中行事
第三節 夏の行事

盆踊り
 盆踊りは十三日から始まった。寺の境内や民家の広い庭を借りて、老若男女、子供に至るまで参加した。村の青年団が主催し、主に「三ツ星踊り」を踊った。終わりのころになると、時には因幡から流行してきた「投げ出し」を踊る者もいたが、この踊りは雰囲気を壊すため歓迎されなかった。村々の盆踊りの日はおおよそ次のように決められていた。十三日は方地の寺・宮内・田畑二、十四日は川上・埴見、十五日は藤津・東郷小学校・高辻・麻畑・久見・松崎三区、十六日は別所・門田、十七日は方地・小鹿谷・方面・長和田・羽衣石、十八日は引地・花見小学校、二十日は長江、二十三日は野方・漆原・松崎一区などであった。
 青年たちは、町域内の村々の踊りだけでは飽き足らず、泊・三徳・上井・西郷方面まで自転車で出掛けた。七時半ごろから翌朝一時・二時まで踊り明かし、家に帰るころは夜が明けることも珍しくなかった。踊るためにげたがチビて(すり減って)、一夏に三足も履き替える者もいた。
 長和田の盆踊りは特に弾んだ。娘の参加が多かったので、それにひかれてよその青年が多く集まったのである。歌のはやしに、「長和田のべっぴんさん、踊っだけ来なんせ、お前ばっかり待っとった」というのがある。
 松崎三区の路上では、浪人踊りが踊られた。以前には、宮内などでも浪人踊りが踊られていたという話もある(宮内・福本先談)。


松崎一区・地蔵盆での三ツ星盆踊り


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