第四編 民俗
第一章 年中行事
第三節 夏の行事

代満
 代満〈しろみて〉とは、田(代)が満つる、すなわち田植えが終了したことを田の神に報告して共に祝う行事である。田植えの終わった家ごとに行うのを小〈こ〉代満、ムラ全体で行うのを大〈おお〉代満といった。
 小代満は、残しておいた苗三束をかまどの上に置いて、円すい状に握った飯を供えた。これをオカマサンと呼んだ。オカマサンの飯を食べると田植えが上手になるといわれた。
 大代満はムラ全戸の田植えが終わるのを待って、ムラ中一斉に行った。代満もちをついて神棚に供え、早乙女や親せきなど田植えで世話になった人に配った。ムラ人は神社に参り神主のおはらいのあと、代満ごもりを行い酒を酌み交わした。この日はだれにでも水を掛けてもよい日とされ、子供たちは水鉄砲で通行人に水を掛けたが、特に新婚の夫婦が目標にされた。
 この日は休日となり、灸〈きゆう〉をすえ合ったり、若嫁は里帰りをして疲れをいやした。早乙女賃の支払いもこの日に行われた。代満が終われば、昼寝や子供の水浴びが許され、関(美保の関)参りの計画も立てられた。
オカマサン


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