第四編 民俗 第一章 年中行事 第二節 春の行事 (二) 三〜四月 花祭り 四月八日は釈迦の誕生日といわれ、その降誕を祝して、花祭りの行事が寺院で行われた。灌仏会〈かんぶつえ〉・仏生会〈ぶつしようえ〉・浴仏会〈よくぶつえ〉・竜華会〈りゆうげえ〉などともいい、民間では「花祭り」あるいは「四月八日〈ようか〉」とも呼んだ。 寺院では、レンゲの花で飾った花見堂を設け、中に浴仏盆という水盤を置き、盤内に銅製の誕生仏の像を安置した。参拝者は像の頭上からひしゃくで甘茶をそそぎ、自分たちも頂いたり、持ち帰って仏壇に供えたりした。 家庭では干飯〈ほしいい〉を炒〈い〉って水アメで固めたおいりを作り、仏壇に供えたあと、みんなで食べた。おいりは「お釈迦さんの鼻クソ」ともいった。また、おいりの中には、いった黒大豆や、カキもちのあられを入れたりもした。 この日、風呂にレンゲの花を浮かせて、花湯を作って入浴した。この湯に入ると女性は美人になるといわれた。 民間ではよくお灸〈きゆう〉をすえたが、「四月八日は効かずにほちる(化のうする)」といって、この日には灸をすえなかった。 |
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