第四編 民俗 第一章 年中行事 第二節 春の行事 (二) 三〜四月 雛節供 女の子の初めての節供〈せつく〉には、母の実家から内裏様などの雛〈ひな〉人形が贈られた。雛人形は土人形に彩色したものであったが、古くは押し絵などの手作り人形や、軸物にした雛絵であった。男の子が出生した場合でも土天神を飾った。天神さん(菅原道真)は学問の神とされたので、学業の向上を願ったものである。 初節供には、実家の親を招き、子供の健やかな成長を祝った。雛壇には、紅粉を使った赤、ヨモギを入れた緑、自の三色のひしもちのほか、雛あられなども供えた。また、田んぼからタニシを取ってきて、タニシ料理をするならわしがあった。子供たちは誘い合って家々の雛めぐりをして、供え物を取って食べた。これを雛あらしといった。 雛人形は早くから出して飾ったが、節供が終わると早々に片付けた。長く飾っておくと、女の子の婚期が遅れるといわれた。 |
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