第4編 民俗
第1章 年中行事
第1節 正月行事
(1) 元  旦

年始回り
 年頭ともいい、主人は羽織はかまの礼装で、あいさつ回りに出掛けた。親方、本家、地主、村役、親類を回り、町屋(商家)では得意先回りもした。年始を受ける側では、蒸したもち米を三方(神仏などに供えものをする際の白木の台)に盛ったほうらいさん(ちからえともいう)を出し、おとそや料理をふるまった。なお、ほうらいさんは後で乾操保存し、その年初めてドンドロケ(雷)が鳴ったとき、ご飯に入れて食べた。
 この日は男の正月ともいい、男手で一切を取り仕切り、女が手出しをすることを避けた。また、掃除、洗濯、風呂などを休みにした。ほうきを使って掃除をすると、福の神を掃き出してしまうといわれた。
   
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