第4編 民俗
第1章 年中行事
第1節 正月行事
(1) 元  旦

神供えと料理
 (注)正月三が日は毎日、年男が雑煮を作り、神棚や歳徳さんにお供えしたあと、家族が食べた。歳徳さんは男神・女神の二神があり、家紋つきの椀〈わん〉を二膳〈ぜん〉供えた。
 雑煮は、もちを小豆と一緒に煮たものである。前夜から消さずにいたいろりの大歳榾〈おおとしぼた〉(木の切れ端)の火を大豆の豆殻に移し、たき付けにした。豆穀を用いるのは、1年間家族がまめに暮らせるようにとの願いが込められていた。
 家族そろって雑煮と共におせち料理を食べた。おせちは主婦が大みそかに作り、重箱に詰め合わせておいたもので、黒豆(まめで丈夫に暮らせるように)、数の子(子供がたくさん生まれるように)、昆布の煮しめ(喜こぶ)、イモのこ(子がたくさん付く)のほか、塩マス、スルメ、棒ダラ、コンニャク、クワイ、ワラビ、田作〈たつくり〉(ごまめ)などが主であった。
  (注)以下、本章では原則として太陰暦(旧暦)を用いる。
   
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