第4編 民俗
第1章 年中行事
第1節 正月行事
(1) 元  旦

若水くみ
 早朝3時ごろのまだ暗いうちに、年男(正月祭を司祭する男子。原則としてその家の主人)が若水くみに出掛けた。新しいたご(水桶)にしめ飾りを張り、ひしゃくを持ち、新調のげたを履いた。井戸では、明〈あ〉き方〈ほ〉(恵方〈えほう〉のことで、その年のエトに基づいて決めた方角)に向かい、かしわ手を打ってから水をくみ上げた。山間地では飲用にしていた川水をくんだ。この若水は清浄な水とされ、神棚や歳徳さんに供え、雑煮にも使った。若水くみは3日間続けられた。
   
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