第3編 信仰と文化財
第2章 指定文化財
第4節 町指定の有形文化財

陶経筒
 文政年間(1818〜29)、高辻の山本彦兵衛が字「墓の段」(通称鋳山〈いいやま〉)の山林を開墾中、青磁香炉・和鏡と共に発掘したといわれる。
 高さ26センチメートル、直径は底部9.5センチメートル、胴部14.5センチメートル、口部11.5センチメートルで胴部がややふくらんでいる。厚さ1.3センチメートル内外、重量1.75キロメートルである。底部に径6ミリメートル大の小穴が33個ある。内部の過湿を防ぐための工夫であろう。筒の外面に漆状のものが塗布されているのも同じ理由からと解される。
 製作順序は、底面を作った後ひも作りの方法で巻き上げたものである。筒のいびつは見られないが、土の巻き上げによる凸凹があり、口縁部の作りも荒く、熱練した陶工の作とは思えない。
 胎土〈たいど〉(原料の粘土)はち密で、堅く焼成されている。もとはふたがあったと考えられるが、伝わっていない。
 なお、青磁香炉は伝わっておらず、鏡は柴垣双雀鏡というべきものである。


陶経筒
(高辻・山本操男所蔵)


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