第三編 信仰と文化財
第2章 指定文化財
第4節 町指定の有形文化財

石帯付属品()
 〈か〉とは、古墳時代以降中国の制度にならって、貴族や豪族あるいは官人などが正装に用いた腰帯(バンド)に取り付けた飾りである。巡方と呼ぶ方形のものと、丸鞆〈とも〉と呼ぶ半円形のものを交互に取り付けてあるのが普通とされる。本指定のは巡万一個である。律令制に入ると、身分・官位の上下などによって材質・大きさが定められていたといわれる(第2編第1章、「伯耆一ノ宮の成立」の項参照)。
 昭和27年5月、宮内の井上重吉が倭文神社のお休み場の西隣の原野を開墾中、石びつを発見し、その中から刀・須恵器と共に発掘した。発掘者は故人であるため、出土状況などを確かめることができない。
 の形態は長方形で、表面の長辺は4.0センチメートル、短辺三・六センチメートル、厚さ〇・五センチメートルある。長短両辺とも断面は台形であるため、裏面は表面よりやや大きい。中央から少し片寄って、長さ二・四センチメートル、幅〇・四センチメートルの長方形の穴がある。石質は滑石とみられ、どの面もよく研磨されている。裏面四隅に、腰帯に固定するためと推定される小穴が二個ずつあけられており、二個の穴は表面に達しないでつながっている。

 
野方廃寺出土の鴟尾の破片
(東郷町教育委員会所蔵)
石帯付属品の
(宮内・井上収所蔵)


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