第3編 信仰と文化財 第2章 指定文化財 第3節 県指定の文化財 保護文化財・大日如来坐像 像高82センチメートルで桜材を用いた一木造りである。作者は光背裏面の銘文で明らかなように木喰五行〈もくじきごぎよう〉である。 26センチメートルの高い蓮台をもつ坐像で、五智宝冠(大日如来が頭にかぶるもので、五つの峰があり阿弥陀などの五仏を表す)を戴き、智拳〈けん〉印(胸の中央で左手の人さし指を立て、これを右手で握る印相)を結んでいる金剛界大日如来像である。形式にとらわれない濶〈かつ〉達な彫り方で、一見して木喰の作と分かる。 円形光背の表には、青海波の文様に梵〈ぼん〉字を入れ、裏には、 日本千躰ノ内ナリ 木食のけさや衣はやぶれても 己が本願はやぶれざりけり 聖朝安穏増宝寿 南無金剛界大日如来日本順国八宗一見 天下安興正法 勅願所 日州児湯郡府中□□□ 五智山国分寺□□□ 出生 甲斐 天一自在法門 八十一才(花押) 木喰五行菩薩 と木喰独特の筆法で墨書がある。胎内に経文が納めてあったと伝えるが、今は紛失している。 木喰の生涯については前編「近世」の章を参照されたい。 |
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