第3編 信仰と文化財
第2章 指定文化財
第2節 国指定の文化財

重要美術品・家屋形弥生式土器
 大正5年、東郷町内で発見されたといわれる。入母屋(上部は二方に、下部は四方に勾配を持つ屋根)造りの形をした土器である。下部は17センチメートル×14.5センチメートルで、底には径約8.8センチメートルの穴があいている。柱は四隅のほか、長辺の一壁面に2本、他の三面は1本ずつ表されている。軒までの高さ6.9センチメートル、総高17.9センチメートル、全面に丹〈に〉が塗られ、棟・軒先・土台の部分に貝殻の腹部を押し付けた文様が見られる。軒の出は1センチメートル内外である。屋根の中ほどに、横1本の粘土のひもを張り付けている。棟の両端は反り上がり、中央に径7.3センチメートルの円筒形の口頸部を持つ(口絵写真を参照)。
 材料の粘土は精製されているが、焼きはもろい方である。一見して家形埴輪にも見えるが、屋根に口頸部のあることから、弥生後期の土器とみるのが一般的である。
 出土地などについては、前編「原始・古代」の章を参照されたい。
   
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