第3編 信仰と文化財 第1章 宗教法人 第3節 寺院 7 九品山大伝寺 中将姫 中将姫は、奈良時代の右大臣・藤原豊成(後に左大臣)の娘。5歳のとき母に死別し、父は後妻を迎えた。後妻は、初め姫をかわいがったが、やがて賢い姫を憎むようになり、豊成が天皇の命で諸国の視察に出た留守に、松井嘉藤太(かとうた)という武士に姫の殺害を命じた。 嘉藤太は姫を殺そうとしたものの、姫が少しも恐れず、手を合わせて読経する姿を見て、殺すことができなかった。そこで、嘉藤太夫婦は山中で、ひそかに姫を守って生活した。父の豊成が諸国の巡視を終えて帰宅し、狩りに出た折、山中で姫を発見し、その無事を喜んだ。姫は家に帰ってからも、仏の信仰を続け、16歳の時ついに父に願って、当麻寺に仏弟子として入った。29歳の3月14日の晩、仏の迎えで成仏したと伝えられる。 о町指定文化財「中将姫像」 о町指定文化財「阿弥陀二十五菩薩立像」 |