第3編 信仰と文化財
第1章 宗教法人
第2節 神社・教団
 1  倭文神社(伯耆一ノ宮)

一ノ宮のお使いは「蛇」
 一ノ宮のお使いは蛇と伝承され、境内には蛇が多い。近年倒壊した御神木(前述)は中が空洞で、蛇の巣となっていた。有名な神社には、狐(きつね)、猿(さる)などいろいろな動物が、お使いとして伝承されている例が多い。出雲大社の御祭神・大国主命には、蛇と関係の深い伝承が多く残っている。一ノ宮のお使いが蛇であると伝承されているのは、その祭神中に下照姫命をはじめ、出雲系の神が多いことと無関係ではなかろう。
 宮内の東郷湖岸の弁天岩付近に、下照姫命のお使いといわれる白蛇がいて、養生館近くの龍湯(りゅうとう)(龍頭)島との間を往復していたとの民話もある。この島は龍渡島とも書かれる。蛇(あるいは竜)は、水との関係が深いものと考えられてきたものである。