第二編 歴史
第四章 近代・現代
第九節 学校教育
 一  教育制度の変遷と町内の概観
(二) 明治時代

教育勅語と御真影
 「朕惟〈ちんおも〉フニ…」で始まる明治天皇の教育勅語は、明治二十三年十月に発布された。臣民が守るべき徳目や、国家の一大事には天皇に一身を捧げること、道徳律の普遍的な妥当性などを強調した内容で、太平洋戦争終結までの日本の教育理念を規定するものとなった。各学校では、祝祭日などの儀式の際に、奉読された。また、天皇・皇后両陛下の御真影礼拝も行われた。勅語、御真彰とも、講堂などの一角に設けた奉安室に安置されていた。当時の児童たちが、毎朝の朝礼で暗唱していた教育勅語の全文を掲げておく。
  教育ニ関スル勅語
 朕惟〈ちんおも〉フニ我カ皇祖皇宗〈そう〉国ヲ肇〈はじ〉ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克〈よ〉ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世々厥〈そ〉ノ美ヲ済〈な〉セルハ此〈こ〉レ我カ国体ノ精華ニシテ教育ノ淵〈えん〉源亦〈また〉実ニ此ニ存ス爾〈なんじ〉臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋〈ほう〉友相信シ恭倹己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ学ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓発シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ広メ世務ヲ開キ常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵〈したが〉ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌〈じょう〉無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ是ノ如キハ独リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺風ヲ顕彰スルニ足ラン
斯〈こ〉ノ道ハ実ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶〈とも〉ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬〈あやま〉ラス之ヲ中外ニ施シテ悖〈もと〉ラス朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺〈よう〉シテ咸〈みな〉其徳ヲ一ニセンコトヲ庶幾〈こうねが〉フ
 明治二十三年十月三十日
 御名〈ぎょめい〉 御璽〈ぎょじ〉
   
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