第2編 歴史
第4章 近代・現代
第6節 観光
 2  観光地づくり

松崎東郷小唄
 昭和2年に作られた「三朝小唄〈うた〉」(野口雨情作詞、中山晋平作曲)は、当地方の温泉小唄流行の先駆けになったといわれている。その刺激を受けたのであろう、同8年3月に松崎東郷小唄のレコードが制作された(「立木柳蔵日記」)。
 レコード制作に至る経緯などは明らかでないが、作詞は、当時県会議員を務めていた松崎の松田昌造(雅号・三柏)、作曲・小堀真澄、唄・金本幾松、踊りの振り付け・林きむ子であった。旭・尾川かつのによると、振り付けは芸者仲間で踊りやすいように一部修正され、披露は河本旅館の大広間で行われたという。恐らく、レコードが完成した後のことと思われる。この唄は地元民に親しまれ、宴席などでは盛んに歌われた。昭和26年の東郷松崎町合併記念行事に、松崎婦人会の有志十数人が松崎一区から駅前まで踊り流したこともあった。しかし、同29年に東郷小唄(坂口淳・作詞、吉田正・作曲)ができてから、次第に歌われなくなった。その歌詞と楽譜を掲げておく。



『松崎東郷小唄』のレコード
(松崎・伊藤光浩所蔵)

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