第2編 歴史
第4章 近代・現代
第6節 観光
 2  観光地づくり

県立公園指定の取り組み
 昭和8年5月5日、東郷村松崎村組合役場内・県立公園期成同盟会の名で、観光パンフレット『(注)東郷湖畔めぐり』が発行されている。当地方の県立公園指定に向けて、役場関係者などで組織する期成同盟会の活動があったことが知られる。当時は、同6年・羽衣石城の再建、同8年・松崎東郷小唄のレコード制作(後述)などが相次いだ時期である。温泉旅館の増加とともに、史跡名勝などを活用した幅広い観光振興が急がれていたとみられる。
 県立公園申請の動きは、戦争の激化とともに一時中断されたと推定される。東郷町をはじめ、倉吉市・三朝町・羽合町にまたがる三朝東郷湖県立公園が誕生したのは、昭和29年4月1日であった。
 (注)「立木柳蔵日記」には、同年4月3日の頃に「五月五日鳥取県町村長会当村にて開催につき、温泉組合役員との連絡協議会を開催。協議の結果、『東郷湖畔の名勝と史蹟〈せき〉』の冊子編纂〈さん〉を予が引受けたり」の記述が見える。『東郷湖畔めぐり』は、書名は変わっているが、立木柳蔵が編さんしたものであろう。同書の表紙に5月5日の日付があることから、同日開催された県町村長会の出席者に配布されたものと推察される。前述した東郷湖周辺の神社仏閣、史跡名勝などのほか、東郷・松崎各報徳社など産業施設の由来、概要が紹介されている好資料である。


「東郷湖畔めぐり」の表紙
(松崎・立木惇三所蔵)


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