第2編 歴史 第4章 近代・現代 第5節 農林水産業 4 東郷湖の干拓 (1) 明治・大正時代 埋め立ての手法 東郷湖の埋め立ては、残術のトロッコのほか、多くは湖底の泥土をジョレンですくい上げ、舟で埋め立て地に運ぶという方法が採られた。俗に「泥〈どろ〉こぎ」と呼ばれたものである。小舟の上でジョレンを使う作業は大変な重労働であるうえ、かなりの熟練を要したという。泥土を満載した多くの小舟が、日に数十回、埋め立て地までの湖上を往復した。こうした作業には上浅津村の若者が多く当たった。漁業を主目的にした東郷町域側の舟に比べて、羽合町側は小さな舟が多かったという。泥こぎの労賃は、運んだ泥土の量ではなく、往復した回数によったから、小さな舟が有利であったといわれる(旭・船木重正談)。 |
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