第2編 歴史
第4章 近代・現代
第5節 農林水産業
 1  農業
(4) 果樹栽培

野花豊後のこと
 東郷町特産のウメの品種である野花豊後のことに触れておく。
 昭和15、6年のころ、野花・寺地信好の果樹園に、毎年よく結実するウメの木があった。しかも、受粉の量は少ないのに自家結実する珍しい品種であった。
 戦後になってから、当時の鳥取大学農学部助教授・脇坂聿雄も調査に訪れたが、品種は解明できなかったという。突然変異によって生まれた新品種とみられる。同24、5年のころ、地名を取って野花豊後と命名された。戦中・戦後に、寺地はウメの一大生産地を目指して、野花豊後の増植を呼びかけた。今でも野花のほか、植見・門田など花見地区を中心に広く栽培されている。
 開花時が遅くて結実が安定しているほか、実が大きく、同じ豊後系の品種に比べて着果率が高いのが特徴であるとされる。
   
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