第2編 歴史
第4章 近代・現代
第5節 農林水産業
 1  農業
(4) 果樹栽培

東郷ナシの特徴と自然環境
 ここでは、東郷ナシの果実の特徴と、栽培上有利な自然環境に触れておく。過去、東郷ナシが発展した要素として、稲作と労力配分が競合いしないナシ栽培が農家の副業に適当であったこと、研究熱心で優秀な指導者に恵まれたことなども挙げられる。しかし、とりわけナシの品質に好影響を与える自然の立地条件も、見逃せない要素の1つであった。
 〔東郷ナシの特徴〕
 (1)外観がよく、甘さと酸味が程よく調和した風味がある。
 (2)口の中でとろけるような感じで、カスが残らない。
 B果実のシンが小さい。
 〔自然環境の利点〕
 (3)排水のよい緩傾斜地や花崗〈こう〉岩系の土質が多い。
 (4)東郷湖や日本海の影響で、気候が温暖である。
 (5)四〜六月の雨量が少なく、黒斑病の発生が少ない。
 (6)台風が少なく、収穫が安定する。
   (以上、森田泰徳談)
   
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