第2編 歴史 第4章 近代・現代 第5節 農林水産業 1 農業 (4) 果樹栽培 概説 今日、町内で栽培される二十世紀ナシは、東郷ナシのレッテルで全国に知れ渡っている。過去、大正時代の黒斑病の大流行と自然災害、太平洋戦争したの金属類回収令など相次ぐ苦難の時代もあったが、恵まれた環境と先人の努力、研究によって乗り越え、今日の名声が築き上げられたのである。 町域内での本格的な果樹栽培の始まりは、明治30年前後までさかのぼり得るようである。しかし、当時の記録は乏しく、正確な実態は明らかにできない。当地での果樹栽培の歴史に言及した刊行物には次のようなものがあるが、果樹導入期の記述はいずれも関係者の記憶に頼ったものである。 『因幡の園芸』(大正3年8月、鳥取県農会刊) 『東郷村郷土読本』(昭和13年10月、東郷尋常高等小学校刊) 『東郷の梨』(昭和44年8月、東郷果実農業協同組合刊) 『鳥取二十世紀梨沿革史』(昭和47年3月、鳥取県果実農業協同組合連合会刊〉 『伊藤馬蔵の記録書』(昭和57年9月、石井みよの著) 東郷地区に比べて、舎人・花見両地区の資料は、ほとんど確認できなかった。今後の調査、研究に期待したい。なお、ナシ栽培に詳しい川上・森田泰徳から、独自の研究資料などの提供を受けた。これらを基に、町域内の果樹栽培の歴史を概観したい。 |
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