第2編 歴史 第4章 近代・現代 第5節 農林水産業 1 農業 (1) 農業の概観 町域内の状況 町域内の農地改革の状況を、表53・54に示した。いずれも、昭和25年8月1日現在の各村(ママ)「農地等開放実績調査」(鳥取県庁所蔵)によった。 小作人に売り渡した農地面積の合計は356ヘクタールにも及ぶ。花見村の田の売渡面積が際立って多いのが目立つ。自作・小作地別面積の推移では、4カ村で自作地が1.8倍に増え、逆に小作地は5分の1に減少している。舎人村における自小作別農家数の推移では、自作・自小作を合わせた農家の増加が顕著で、実施前の42パーセントが94パーセントと倍以上に増加している。所期の目的を果たしたといえよう。 なお、売り渡し価格は田の場合、4カ村の平均で10アール(1反)当たり740円(全国平均760円)となる。当時の米の公定政府買い上げ価格は150キログラム3,232円であったから、10アールあたりの水田価格は米34.3キログラム(2斗2升9合)分にすぎない。小作農は農地改革によって格安に自作化したといってよい。 前掲「農地等開放実績調査」には、農地改革によって最も変わった点として、「零細農家の経営が安定した」(ママ)「所謂〈いわゆる〉持てる者持たざる者の懸隔が縮減せられ、耕作者は隷属的、屈辱的な地位より脱皮して増産意欲は向上し、勤勉顕著たるものあり」「農民の愛土心が一変した」「農民の人生観に安定性を与へた」などと記されている。 |
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