第二編 歴史
第四章 近代・現代
第四節 官公署と医療機関
 二  医療機関
(二) 家伝薬の製造販売

高辻の山本家
 高辻の山本操男家では、江戸時代から祖先伝来の家伝薬「痳癒丸(りんゆがん)」を製造していた。急性・慢性の淋病をはじめ、淋毒から併発する諸病に特効があるとされ、国内はもとより、満州・台湾・樺太(からふと)など遠く海外からも注文が殺到したという。同家には、当時の注文者からの礼状も残されている。このほか、「痳癒湯(とう)」(振出薬)も販売された。昭和10年ごろ廃業した。
 以上4家のほか、森納著『因伯くすり雑考(二)』は、松崎の足羽(現・義治)家が昭和の初期ごろ、感冒薬「解熱鎮痛ヘブリン散」を売っていたとするが、詳細は不明である。