第2編 歴史
第4章 近代・現代
第4節 官公署と医療機関
 1  官公署
(3) 国鉄と駅

用地の買収と労働力の確保
 方面・伊藤隆治所蔵の文書によると、明治36年1月、同家所有の引地村地内の田畑が、鉄道用地として買収されたことが知られる。その代価は、1反当たり畑240円、田365円となっている。田畑の良否によって価格に多少の差異はあったであろうが、こうして町域内の田畑が鉄道用地として次々と買収されていったとみられる。
 『鳥取県史』によると、当時の鉄道工事は土木用の機械がなく、大量の労働力が必要であった。このため、請負業者は米1升と5銭の賃金で農民を狩り集めた。芋飯ともろみ(しょうゆの搾(しぼ)りかす)で、1日12時間の重労働であったという。