第2編 歴史
第4章 近代・現代
第3節 戦争と災害
 4  火災と消防

竜吐水のこと
 別所・西田陽二所蔵の文書によると、明治38年2月、東郷村松崎村組合長が消防器購入の件を議会に提案しているのが知られる。議案には、「本大字村(注・引地村)ニハ従来消防器械ナク万一火災アルトキハ貴重ノ財産ヲ烏有〈うゆう〉ニ帰セシムル虞〈おそれ〉有之、区民ノ憂慮一方ナラズ」とあり、区有の土地を売却し、その代金をもって竜吐水〈りゅうどすい〉その外を購入する計画であった。
 竜吐水とは、江戸時代後半から用いられた消防用具で、水鉄砲とも呼ばれるものである。大きな箱の中に押し上げポンプの装置をつくり、横木を上下させることで、箱の中の水を引き出す仕掛けになっていた。
 町内にも、川上・森田良平、旭・河本一三家などに竜吐水が所蔵されているが、使用年代などの詳細は不明である。

竜吐水
「伯州久米松神竜吐水師吉尾吉造作」の焼印がある。
(旭・河本一三所蔵)

表46 舎人村消防組の組織と設備

<前頁
次頁>