第2編 歴史
第4章 近代・現代
第3節 戦争と災害
 1  戦争と郷土

終戦直後の生活とインフレ
 戦後、新憲法の制定、選挙法の改正、6・3・3制の教育の実施など、日本民主化のための施策は進んだが、国民の生活は安定しなかった。戦中から米の生産が低下していたが、農業は直ちに復興できず、農家には米などの供出が呼び掛けられた。しかし、絶対量が不足していたため、ヤミ米が横行した。特に終戦の年のナシの収穫時には、食糧難からナシの買い出しが相次いだ(東郷果実農業協同組合刊行『東郷の梨』)。
 戦後の日本の経済は、極端なインフレに襲われた。その例を、花見村収入役の報酬で概観したい(町役場所蔵「花見村職員名簿」による)。
 昭和20年4月から月額65円であったが、終戦後の22年10月には約10倍の600円に、さらに半年後の23年4月3,500円、26年10月9,600円と、驚くべき数字になっている。これは、貨幣価値が急激に下落したことを物語るもので、生活はますます苦しくなったのである。

昭和21年度の「甘藷割当表」
サツマイモの供出が各農家に
割り当てられている。
(白石区有文書)
昭和22年の「味噌醤油配給帳」
(白石区有文書)

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