第2編 歴史
第4章 近代・現代
第2節 財政と村政
 2  主要な村政
(1) 衛生

衛生組合と伝染病予防委員
 明治20年代では、コレラ侵入の脅威に加えて、腸チフス、赤痢が流行し始めた。このため、環境衛生を改善して伝染病を予防する重要性が高まった。明治30年には、伝染病予防法によって衛生組合の設置が義務づけられている。
 資料編107号4に収録した「舎人村衛生組合規約」は、明治30年9月以降に定められたものと思われる。これによると、村内を7区(部落)に分け、各区に組長1人を置き、区長が兼ねる、組長の任務は、組内の人民の衛生思想の普及、伝染病患者の氏名・住所の報告などとなっている。このほか、消毒の方法、伝染病密告箱の設置、違約金や過怠金の徴収などが決められている。伝染病予防のために、共同体の強制力を利用する制度であった。
 なお、町役場所蔵の「舎人村職員名簿」によると、組長の設置は、各部落ごとに1人ずつではなく、それぞれの部落を更に2〜4区に分け、各区ごとに組長を選んでいる。
 伝染病予防委員は、同じく「舎人村職員名簿」に記録されている。任務や任期などは定かでないが、明治35年5月に、まず松崎の医師・松田春斎が委嘱され、以降、民間人3人が大正5年まで引き継いで担当している。

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